内容説明
ユートピア社会をめざすヤマギシ会は、なぜ家族崩壊や子どもの不幸を招くのか?ヤマギシ会に潜入し、洗脳のかなめである「特講」をはじめて体験取材。隠されてきた「会」の秘密に迫る―地を這う取材で明らかになったヤマギシ会の真実。話題を呼んだベストセラーに、その後の「ヤマギシ(ユートピア)のゆくえ」を加筆、さらに「特講」の分析を加え、「会」のありかたをいま再び世に問う。
目次
僕なんか死ねばいいんだ
地上の楽園
脱走する子どもたち
交わることのない“二つの真実”
脳を洗う
脳を洗った八十八人のその後
脳に浮かんだユートピア
「地上の楽園」の実態
ユートピアの終着点
ユートピアのゆくえ―文庫版のあとがきにかえて
特講補論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
93
ヤマギシ会の実態に迫った書物である。 ユートピア社会を目指すヤマギシ会は なぜ 家庭崩壊を招くのか? 著者自身が体験した「特講」を軸に 洗脳の実態を暴く。 洗脳の犠牲者とも言える 子供たちは どうなっていくのかが 気になる、読後感だった。2023/05/24
ステビア
8
特講(ヤマギシ会の洗脳セミナー)は解離を強制する。2018/06/19
西澤 隆
7
普通の世間で暮らしてきた人は外界から遮断された場所である程度技法として確立されたストレスに晒した上で新しい価値観を押し込むことで「洗脳」されることになるかもしれない。でもここで生まれたり物心つく前に連れてこられた子にとってはここの世界は「あたりまえ」だから受け入れるか自我と共に疑問を感じるかしかなく「こんな場所があるんだ!」という衝撃に遭遇することはない。つまり、外から大人としてやってきた一世の「洗脳」は二世には受け継がれない。ならば大人たちだけのための仕組みであり子どもは蹂躙されることになる。切ないね。2019/11/03
三浦郁子
6
ヤマギシ会という存在すら知らなかった。特講でどんなことが行われていたのか克明に書かれているが、こんなことが洗脳になるのかなと不思議な気がした。そう考えると人間ってもろい生き物なのかも知れない。それにしても子供に対する虐待がひどい。かわいそう。子供って無力だなと感じた。親次第で生き方を決められてしまうのだから。救いのない話だった。2022/07/31
かじ
5
洗脳ってなんなの?という疑問の解消につながればと思い話題の本書を手に取った(買ったときは1500円くらいだったが、今amazonで4500円!)今まで漠然と洗脳って、脳の中の情報の上書きだと思っていたので、そんな簡単にはできんでしょと高を括っていたが(作中で作者も一週間なら大丈夫だろうと言っていた)そうではないという体験が克明に描かれる。怪しいとかカルトだと揶揄するうような態度だった人がはまっていく様に慄然とする。こんな団体が身近に存在していたことも衝撃。今こそ読まれるべき一冊!こういう本は再販してほしい2022/08/11