内容説明
「荒野」とは自由とほんものの冒険が息づく場所。本書は20世紀の偉大なる野性児アビーがそんな「荒野」に故郷を発見するまでの旅の軌跡であり、半生記でもある。
目次
放浪讃歌
グレート・アメリカン・デザート
混乱と悲しき青春
火災監視―ニューマ・リッジ
スノーキャニオン
砂漠の土地
デスバレー
来たれ
黄昏のマンハッタン、夜のホボーケン
ユタ州―神の造りたもうた国〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチアカデミー
13
原書は1977年刊行。ネイチャーライティングの名著でありながら「ぼくはナチュラリストではない」という挑発的な文章から始まる、日記、エッセー、雑文ごったまぜの一冊。強烈でアジテーショナルな文章と、人間社会(と資本主義)への痛烈な批判が、それらを文学たらしめている。身辺雑記にも近いが、「私小説」にならないのは、自然に対する己の感情や思考がどこから湧き上がるものなのかを見つめようという己への冷徹な眼差し志向ゆえ。森林、砂漠、荒野などの中の、意味化される前の自然=ウィルダネスを求める思考の旅を味わうことができる。2015/11/10
きのたん
1
ずっと読みたかった作家の本をやっと読んだ。思い入れとは裏腹に、何か小難しい理論を言ってる訳でもなく淡々とアメリカ南西部の自然を描写していく。こんなの見慣れた風景じゃないか。乾いた線路も、山の針葉樹も・・・うぅ、もう帰れない、あの懐かしい自然(涙)!!完全にはまってしまった。 昔、お金持ちの奔放な奥様に「人のいないとこは価値がある」と教わった。今でも全くその通りだと思う。2018/07/29