内容説明
高等学校に入学した「私」は両親の勧めで寄宿舎に入った。そこで同室になった一つ年上の同級生・三枝は静脈の透いて見えるような美しい皮膚と薔薇色の頬の所有者だった。彼は上級生の魚住と親密だったが、やがて「私」との関係も深まっていく―。寄宿舎を舞台に少年たちの友情を越えた関係を描く「燃ゆる頬」、生きることと死ぬことの意味を問う「風立ちぬ」を収録。声優・鈴木達央が紡ぐ「燃ゆる頬」名場面抜粋の朗読CDを封入。
著者等紹介
堀辰雄[ホリタツオ]
1904年、東京生まれ。東京大学国文学科卒業。1953年、48歳で死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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❁Lei❁
21
肺結核とギムナジウムを描いた二作。「風立ちぬ」は、節子との牧歌的な暮らしの中に、死の影が音もなく忍び寄ってくる不気味さがありました。「幸福の思い出ほど幸福を妨げるものはない」「おれは、おれの人生のまわりの明るさなんぞ、たったこれっばかりだと思っているが、本当はこのおれの小屋の明りと同様に、おれの思っているよりかもっともっと沢山あるのだ」死を考究する小説はあれど、それを裏返して幸せについてを考える小説はあまりないのではないのでしょうか。引用は、本当の絶望をくぐり抜けてきた人からしか出てこない、すごい文です。2024/08/12
柊渚
16
静脈が透けて見えるほど真っ白な皮膚の中で、頬だけがいつも薔薇色に染まっていた。触れるとほんのり熱を帯びていた、あの日永久に失われてしまったもの。 寄宿舎で過ごした少年時代の淡く、痛みを伴った追憶。思春期特有の危うさや残酷さが、美しい筆致によって綴られる。耽美×美少年×切ない。 旧制高等学校の寄宿舎における少年同士の恋愛を描いたもの。これは好きすぎるあまりに胸が苦しい…。 性癖を詰め込まれたようなお話。とくに脊椎カリエスの痕をなぞるシーン、静かな色気を秘めていて、繰り返し繰り返し読んでしまいました🥺2021/08/10
波璃子
13
「燃ゆる頬」の朗読CDが聞きたくて購入。すごく良かったけど途中までだったのが残念。値段上げてでもいいので全部朗読して欲しかったです。2015/07/25
冬見
11
「燃ゆる頬」「風立ちぬ」ともに既読で好きな作品。「燃ゆる頬」を紙で手元に置いておきたくて数年前買ったが、その後、本作が収録されたアンソロジーと新潮文庫版を手に入れたため、しばらくほったらかしだった。既読作品なので感想は割愛。この海王社文庫版は朗読CD付きのもの。丸々一作ではなく「燃ゆる頬」から名場面を抜粋したものらしい。せっかくだから聴きたいが、問題は我が家に8cmCDを再生できる機器があるかという……試してみよう。2021/03/06
sumire010101
3
「風立ちぬ」の作者、堀辰雄が書いた全寮制の男子校が舞台の昭和初期のBLです✨ 堀辰雄がBLを書いていたなんて知らなかったー! お話自体は短編で、すぐ読める感じなのですが、一つ一つのエピソードが、すごく印象に残る表現で、文章も美しくて、流石堀辰雄ー!って思いました。この文庫のシリーズは、それぞれに色々な声優さんの朗読CDがおまけに付いているのですが、今回は鈴木達央さんで、とても素敵な朗読が聞けて、そこも良かったです💕 2021/03/19
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