内容説明
「百年、私の墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」そう云って絶え果てた女を埋めるため、男は真珠貝で穴を掘る。そして丸い墓石の傍で百年待った―。十篇の幻想的な夢の情景を写し出す『夢十夜』。可憐な文鳥の死を淡々とした筆致で描く名作『文鳥』、ほか『永日小品』を収録した短篇集。声優・宮野真守が紡ぐ『夢十夜』名場面抜粋の朗読CDを封入。
著者等紹介
夏目漱石[ナツメソウセキ]
1867年、現在の新宿区喜久井町に生まれる。本名は夏目金之助。英語教師の職を経て、英国へ留学。帰国後、1905年「吾輩は猫である」を発表。数々の傑作を世に残す。1916年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽん
9
文章の美しさ。それに尽きます。当たり前ですが、なんと語彙の多いことかと感動してしまいました。堀辰雄なども言葉の美しさを感じましたが、もっと読みやすかったです。これだけ変化球な言葉を投げてもわかりやすく、しかも美しいなんて!と終始感動でした。2015/11/10
鳩羽
8
装丁に惹かれて購入。「夢十夜」「文鳥」「永日小品」が収められている。作り込まれた「夢十夜」よりも、創作なのか実話なのか、随筆めいた文章なのか、が入り混じる「永日小品」を読んでいると、夢現が混ざるような不思議な感覚になった。感情も思想も文章のなかで殊更に強調されることもなく、たくさんの家族の中にいてもロンドンの人混みにいても、筆者は一人で無為のところにいるみたいだ。でも、死んだ文鳥を、世話しなかった小女のせいだとして投げるような、そういう癇性なところは嫌だ。2015/09/11
悠里
2
夏目漱石ちゃんと読んだの久しぶりでした。「文鳥」が一番好きだった!とても情緒のある書き方をするんですね。ほんと素敵。ホラーも書けるし日常も書ける。ジャンルが違っても、とても面白い。イギリスの話も沢山あったのが嬉しかったです。ベイカーストリート行きたくなった。2018/09/06
葵
2
やっと読み終わった…長々と読んでいました。「夢十夜」は第一夜、第三夜がお気に入り。第一夜は有名で読んだことがあったが、その他は読んだことがなかった。第三夜のぞくっとする感じが好きです。2015/10/25
マシロット
1
不思議でちょっと不気味な夢の話と千代千代と鳴く文鳥の話。文鳥の可愛らしさが多く書かれているけど美しいのが弱って死んでしまうのも丁寧に書かれてる。 短い話が沢山入ってる永日小品。八十銭のモナリサとか弱って死んでいってしまった猫のこととか英吉利のこととか。2022/01/26