内容説明
山菜採り、トチ餅作り、まむしの焼酎漬け、キハダの胃腸薬…。岐阜県揖斐郡徳山村、ダムの底に沈む廃村に舞い戻ってきた老人たちが教えてくれた変わらない山の生活の工夫と知恵、変わりゆく時代に寄り添った15年の記録。『僕の村の宝物』完全版。映画化で話題沸騰!感動のフォト・ノンフィクション。
目次
五合飯とぼた餅
廃墟の村
徳山村との出会い
わさび畑を行く
露天風呂とロウソク一本
索道の話
トチ餅作り
漢方薬博士
実りの秋
土は宝物
おいしいまむし
恋愛結婚
キハダつくりと固豆腐
一九九五年十二月二三日
最後のわさび採り
三十本の桜の苗木
テレビの取材
ハツヨさんとの別れ
ここを去る人々
木の神様になった
それでも山に戻った
ひとりぼっち
小西さんの四季
ゲートがおりた
僕の村の宝物
村は生きている
著者等紹介
大西暢夫[オオニシノブオ]
1968年東京都生まれの岐阜県育ち。東京綜合写真専門学校卒業後、写真家本橋成一氏に師事。著書に『おばあちゃんは木になった』(ポプラ社、第8回日本絵本賞)など。現代人のこころと生き方の辺境を記録しつづけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
11
ダムに沈む村を15年にわたって取材した記録。福島の原発は東京の人が使う電気を作るためのものだった。ダムに沈んだ村は他所の資源を必要としなくても十二分にまわっていたのに、都会に流すエネルギーのために潰されてしまった。現代のエネルギーって効率わるいな、おい。水に沈むって具体的にイメージしたことなかったけど、諫早と同じく鉄のゲートが閉まるのか。乏しい想像力でも、自分たちが失ったものがいかに豊かであったのか、そのイメージの糸をどんな形であれ切れないように繋いでいくことが著者と読者の務めであるか。2019/06/08
けんとまん1007
6
人にとって故郷とは何か?なぜ、そこに住むのかという根源的なことを考えた。また、ダムを筆頭として、開発に拘り続ける人たちの愚かさも浮かび上がり、哀しさすら感じてしまう。2010/03/13
ユー
5
「国」によって築き上げて来た過去・現在・未来が全て奪われる。どんな気持ちになるのだろうか。登場する人達の「想い」を噛みしめながら読み進めました。村の、山の生活感が伝わって来る反面、刻々と迫る完全移住と湛水。悲しくて悲しくて涙が出て来ます。「故郷」が無くなる・・・、こんなに辛いことは、続いて欲しくないですね。2016/11/09
kimi
4
映画祭で映画を見たけど、この『水になった村』が一番印象に残っている。ご先祖様から受け継がれてきた徳山村の暮らし。知恵。ダムに沈むことが決まって、街に新しく家があっても、水没するまでは慣れ親しんだ暮らしをしたいと住み続ける何人かのジジババ。その暮らし方が、祖父母の姿と重なる。後半、ダムが完成し水が溜まっていく様も著者は徳山村に通い記録していく。読んでいてこちらもやるせない気持ちになる。"便利"を求め造られるダムが、"便利"を必要としないジジババの暮らす地に負わされる。自分たち都会の暮らしの足元を見た思いがす2010/01/24
wa
2
一つの村だけでもこんなに深い話になる。きっと、語られなかったたくさんのジジババの話があちこちのダムごとにあるんだろうと考えさせてくれる。20世紀、大量に作られたダムで、自分はどんな恩恵を得て、何を失ったのだろうか。などと考え込みつつも、登場するみなさんの語りや生活があまりにも素敵だし、大西さんの接し方も出色。記録を残して本にしてくれた大西さんに感謝。2018/02/02
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