内容説明
バブル・返還・経済危機の丸2年間、取り残された街の古アパートに住み込んで、笑い泣き怒りながら、まるごと体験した香港老若男女の等身大の生きざま。生きるも死ぬも自分次第の街で、2度とは起こりえない物語。最初で最後の傑作長編ノンフィクション。
目次
第1章 香港再訪
第2章 深水〓
第3章 返還前夜
第4章 返還
第5章 逆転
第6章 それぞれの明日
第7章 香港の卒業試験
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねなにょ
28
いつもと違う図書館で偶然見つけた、ずーっと読みたかった本。読み終わりたくなくて、ゆっくりじっくり読んだ。1996年8月から、激動に揺れる香港で広東語(時には北京語と英語)で人々と触れ合って体験したリアル香港を詰め込んだノンフィクション。時に悲しく、又、香港人の強さ、苦しみ、日本人との違いも含め、リアルに面白かった。今、香港で起こっている戦いも、変換前から予測できていたことなのだとよくわかる。返還前の香港に何度も訪れるチャンスがあったのに逃してきた。啓徳空港の離着陸を経験しておきたかった…。又、読みたい。2019/10/15
Romi@いつも心に太陽を!
19
TTL581Pの分厚さに、香港への想いがぎっしり詰まっている。返還期を挟んで過ごした二年間を追体験できる筆致。九龍城塞のまんじゅう工場で知り合った阿彬の話には涙が出た。香港には三者三様に背景が違う人々がひしめき合って暮らしている。漠然と感じていた「混沌の街」が実体を伴ってそこにあった。啓徳空港へ向かう飛行機の腹を見上げる唐楼に住み、新金豪茶餐庁に通いつめ、そうして香港の表も裏も見つめ続けた二年。「香港を愛するが故に、私はいつか絶対にこの街を離れなければならなかった」この言葉がずっしりと私にも響いた。2011/06/29
エリナ松岡
15
相当なボリュームではありますが、会話を多く含んだサラッと読める文章だし何より面白いので、苦もなく読めました。当時の香港の特異性の面白さと、若かった著者、当時30前後だろうからギリギリ青春と言えるかな?による向こう見ずの旅行記・滞在記としての楽しさが半々ぐらいでしょうか。2020/07/30
もちこ
12
ちょうど私が香港に住んでいたのと同じ時期のことが書かれていると知り、手に取った。 当時子どもだった私の知らない香港の姿が書かれていた。 香港島の日本人街で、親たちに守られてのほほんと過ごしていた私にとって、この本に書かれている、ある種血走ったような香港人の生き様は衝撃的だ。 香港=移民の国、という認識も恥ずかしながら持っておらず、このルポを読んで初めて知ることばかりだった。 今の香港はどんなだろうか。 大人になった今、改めて向き合ってみたいと感じた。2024/04/02
紙狸
9
2000年単行本刊行。その後、文庫になっているらしい。単行本を本棚から出して再読した。国家安全維持法施行で、「一国二制度の終焉」が語られる今、香港についてもう一度考えたかった。ノンフィクション作家、星野博美の出世作。1986年に大学生の時、一年間香港に留学した。96年から2年間香港に居を構えて、市井の人々と会話を重ねていく。その途中の97年7月1日に、香港は英国から中国へ返還される。香港人のバックグラウンドの多様なこと。作者が人間関係を大切にしているので、その多様さがしみじみとした情感を伴って伝わる。2020/07/06
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