内容説明
ヨーロッパ各国の注目と絶賛を集めた、世界が注目するアジア純文学最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yukitita
3
昔映画で見て、子供ながら強い印象を受けた原作。簡単に言えば、転校先で教室を担当教師以上にコントロールしていた少年と対峙した話。映画では少年時代にスポットを当てていて、人間社会の本質、不条理な状況での人間の一般的な対処の仕方に主人公が彼なりに対応する中、最終的には集団の卑怯さをも切り取ってみせる深い洞察に、強い印象を受けていた。こんな内容の映画を作る韓国の凄さに、初めて触れた体験だった。小説は映画よりも時間の縦軸が長く、より人生を長く捉え、人間の弱さ、哀しみを改めて感じさせられた。小説、映画、いずれも秀一。2017/04/22
コウみん
2
都市の学校から田舎の学校に転校してきた僕はオム・ソクテという班長を出会う。 彼は班長という地位でクラスの子たちをまるで子分みたいに扱っていた。転校初日からソクテに目をつけられた僕はクラスから虐められる。結局は自分もオム・ソクテに従ってしまうが、6年生の時に新しい担任先生により彼の独裁は終わってしまう。 単純な短編集と思われる一冊が、地味でしぶとい本だった。2021/05/25
dubstepwasted
1
「私は期待する。私の作品が少しでも文化の真髄に到達しているなら、日本の読者からも理解され、愛されるだろうと。日本での出版を前に胸がときめく」(日本の読者へ) 「屈従の甘い果実や、抜け目のない打算も私を引き留めた。実際、大人式の精神的な虚栄を除けば、ソクテの秩序の中にいても私に不利なことはなにもなかった」「勉強の席次も喧嘩の順位も彼の操作によって決定され、取り分も預かりも彼の意思によって分配されるクラス、時々私は昔のようにソクテの側で全てを一緒に享受する夢を見て、名残惜しい思いで目覚めることさえあった。」2019/11/17