内容説明
南イングランドの丘陵地の片田舎フェアエーカー村。女校長ミス・リードの教える全校児童数40人の小学校に3人の新入生が入学した。新入生と村の人々の暮らしの一年を、女教師の眼を通して、暖かくときに辛辣にユーモアとペーソス溢れる筆致で描く。第二次大戦直後の英国の田園生活が、季節の移ろいの中で鮮やかに描き出される。小さな村の小さな学校の小宇宙。なつかしい記憶。そこには豊かな時間が流れ、私たちは永遠なるものに触れる。著者の筆は、的確な写実により、典型を描いて普遍に至る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
54
第二次大戦直後のイギリスの片田舎での、小さな小学校の1年間が淡々と描かれていました。そこでの校長先生であるミス・リードの目線での1年は、小さな問題は起きつつも、子どもたちを大切に思っている人々に囲まれ、平和で穏やか。同時期のイギリスの孤児たちの、実話を基にした悲惨な物語を読んでいたので、こんな牧歌的なイギリスもあったと知って嬉しくなりました。2017/02/06
はる
50
1950年代のイギリスの小さな村の小学校の一年を、ひとりの女性教師の視線で描いた牧歌的な物語。大きな事件があるわけではなく、ただのんびり長閑。子供たちが生き生きとして、躍動する無邪気な姿が目に見えるようです。印象的なのは貧しい家庭の内気な男の子ジョセフで、とにかくしぐさが健気でいじらしい。女性教師の、子供たちに愛情を注ぎながらもシニカルな視線はユーモアがあり人間味溢れていい感じです。2017/01/23
シュシュ
28
楽しかった。イギリスの片田舎の小さな小学校の女校長のミスリード。村の人々も皆人間味があふれていた。ジプシーの血が流れている男の子ジョゼフがかわいい。生徒たちにミスリードが「たのしい川べ」を読んであげる場面があった。子どもたちが、ゆらゆらと水面を漂う物語の魔法の世界に入っていく幸せを感じた。「たのしい川べ」を楽しめるのは読書経験や能力ではなく、自然が身近にあることや、やはりイギリスの話はイギリスの子どもには親しみやすいのかと思う。→2017/02/23
カタコッタ
16
穏やかな村の学校の生活。たまに現れるミセス・プリングルのスパイスの効いたキャラクターが無いと進みが悪い。いつ彼女が現れるか楽しみになっています。ミス・リードの小説はこの様な脇役、ミス・リード先生から見た人物達によって成立する小説です。田園小説というジャンルだそうですが、読み始めると癖になります。2022/12/01
どんまいシリル
10
美しい表紙に魅かれて、図書館で借りてきた。戦後のイギリスの田舎の小学校のお話。私の小学生当時は、木造校舎で汲み取り式のトイレだったなぁ…等と、給食の事や、先生の事、いろいろな行事を思い出させてくれた。淡々としているが、なかなか良かった。2017/05/06




