内容説明
声の文化と書記言語。漢文テクストが正統とされた平安時代において、パロールを戦略的に利用し、それを装うエクリチュールとは何か。語り・口承・今様/物語・口伝書・日記…。さまざまなジャンルを横断する言説の偽装と運動を探求する。
目次
第1章 偽の口承物語=無署名仮名書テクスト―『竹取物語』と『無名草子』
第2章 シニフィアンとしての海面/仮名文―『土佐日記』仮名表記文学論
第3章 語りの偽再生装置―『源氏物語』の「音読」
第4章 漢文日記/口伝書/説話集―『江談抄』『中外抄』『富家語』の位相
第5章 書かれた今様文化―『梁塵秘抄口伝集』巻第10の論理構造
第6章 漢文日記の言説―男色家・藤原頼長『台記』