叢書記号学的実践<br> アルシテクスト序説

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叢書記号学的実践
アルシテクスト序説

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  • サイズ A5判/ページ数 220p
  • 商品コード 9784795271791
  • Cコード C0098

内容説明

西欧の文学理論において、長くその起源をアリストテレース=プラトーンに帰せられてきた《抒情的》・《叙事的》・《劇的》なる文学の根源的3ジャンル。「三つの真の自然形式」として、「生と宇宙を知覚する三つの本質的様式」として、更には《弁証法》の3契機として解釈されロマン主義芸術思潮を席巻したこの栄光の三幅対を巡って、文学史と文学理論は夥しい言説を繁茂させた。しかし、これら総ての言説は共通して、固有の意味で美学的範疇であるジャンルと固有の意味で言語学的範疇である様式との混同とすり替えの上に築かれたのである。本書は、ジャンル論という古典的文学理論を扱いつつ、閉ざされたテクストからテクストを越えるものへと向かう最も現代的なテクスト理論の一つの試みであり、記号論による文学史と文学理論の再構築への手がかりともなるであろう。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひばりん

10
叙事詩/叙情詩/劇という古典的文学ジャンルの「古典性」が、じつのところ近代以降のアリストテレス誤読によって構成された偽の権威づけであることを暴露する本。西欧の文学ジャンル論が、案外新しく、特にアリストテレスの詩学からは排除された「叙情=主観性」の観念が、近代以降になって(アリストテレスの名の下に)文学の中枢に繰り込まれたことが明らかにされる。日本人には、この三幅対じたいに馴染めないし、理解不能だとさえ思ってきたが、歴史が浅いならば恐るるに足らない。ギンズブルグのエナルゲイア論も併せて読みたい。2021/09/28

ラウリスタ~

7
文学のジャンル分けというものは昔から人気で、自分の主張を裏付けるために「アリストテレスの『詩学』によれば・・・」式の引用を持ってくるのが伝統的だった。叙情詩、叙事詩、劇、の三分割から始まる、アリストテレスに帰されて来たジャンル分けの歴史を解体していく作業。アリストテレスの時代と現代とでは、文学が様変わりしているから、現代のジャンル分けの根拠をそこに求めることに無理があることは当然といえば当然なんだけれども、どうしても古代の呪縛からは逃れられないものみたいだ。2014/08/20

じめる

1
『物語のディスクール』で有名な作者による、今までの仕事とこれからの仕事をつなぐテクスト。内容としては前半がプラトン - アリストテレス的な詩学によるジャンル分けを論じたジャンル論であり、こちらはそもそもなぜ西洋においてジャンル論がそこに帰着していくのかということとその誤謬を論じる。やはり注目は最後に書き加えられた超テクスト性についての考えであろう。アルシテクストとは原テクストと邦訳でき、テクストは原織物の網の目に回収されること、これからは原織物の超越性について考察することが求められることを示す。2014/07/04

Was

1
バフチンまで連綿と続く文学におけるジャンル論を、プラトン~アリストテレスの誤読、つまり三幅対(抒情詩―叙事詩―劇的)の無意味な流用および主題と言語学的様式の混同からなるものと切って捨てる。後にジュネットが、ジャンルと関わる超テクスト性(『パランプセスト』)や、ナラトロジーの研究(『物語のディスクール』)に向って行くのは必然的な流れであった。ここに同時代性や政治的な観点を付け加えるとジェイムソン『政治的無意識』の議論になるのだろう。彼の場合は物語機能に重点を置き過ぎているような気もするけど。2012/07/22

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