内容説明
タイの田舎に遊ぶさわやかエッセイ。故郷ピッサヌロークを舞台に、少女と動物たち、村人との交流を詩情豊かに描いて現代社会へ語りかけるSEATO文学賞作家の素晴らしき子供時代。
目次
1 日曜の朝
2 二月のサーラピー
3 ファタクア
4 シートーン
5 夢
6 洪水
7 月の蜜
8 愛馬キイオウ
9 帰らぬその日
10 河からの叫び
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
9
タイの女性作家が幼少の頃の思い出を綴ったエッセイ集。原題に『動物園』とあるとおり、動物とのふれ合いが中心となる。「月の蜜」に出てくるのは子虎。スワンニーの父親の上司が飼っていたというのだから牧歌的な時代だ。それほど事件のない物語が続くが、「河からの叫び」での囚人との交流は悲劇に終わる。彼が偶然手に入れた小さな幸福はあっという間に手をすり抜けていく。時にはそうした人生もあるのかもしれないが、出来ることなら身近で体験したくはない。動物たちとの交流とともに、人々の生活に不思議と心惹かれるものを感じた。2016/05/20