出版社内容情報
《内容》 我々は以前から,患者に「精神障害」が認められ,医療・保護のために入院が必要であると指定医が診断し,保護者の同意があれば,本人の同意なく強制手続が開始されることに疑問を抱いていた。日本の精神科医療における強制入院―特に医療保護入院―手続において,その対象となる患者に治療を受けるか否かについて判断する治療同意判断能力があるかどうかは問われなかった。しかし,こうした医療システムにおいて,判断能力審査はデュー・プロセスの観点から不可欠であると確信したことが研究の端緒となった。……
《目次》
第1部 精神科医療における患者の自己決定権 ■ I.精神科における自己決定権:問題の所在 ■ II.医療における自己決定:法的考察 ■ III.精神科強制治療の憲法上の根拠 ■ IV.治療を受ける権利 ■ V.治療を拒否する権利 ■ VI.外来・地域治療と患者の自己決定権
第2部 治療同意判断能力の測定 ■ VII.治療同意判断能力評価法:過去の研究 ■ VIII.判断能力概念の多様性 ■ IX.判断能力評価用構造化面接の開発 ■ X.治療同意判断能力の構造と決定要因
第3部 理論から実践へ:患者の自己決定権と判断能力審査の将来 ■ XI.患者の自己決定権と患者保護の相剋 ■ XII.判断能力審査から情報開示審査へ
付 録 ■調査用症例要旨 ■判断能力評価用構造化面接(SICIATRI) ■告知内容調査票(DCCL) ■関連法文集:日本国憲法/精神保健及び精神障害者福祉に関する法律/障害者基本法/アメリカ合衆国憲法
内容説明
患者に「精神障害」が認められ、医療・保護のために入院が必要であると指定医が診断し、保護者の同意があれば、本人の同意なく強制手続が開始されることには疑問の余地がある。日本の精神科医療における強制入院-特に医療保護入院-手続において、その対象となる患者に治療を受けるか否かについて判断する治療同意判断能力があるかどうかは問われなかった。しかし、こうした医療システムにおいて、判断能力審査はデュー・プロセスの観点から不可欠である。本書では、精神科医療におけるアメリカ合衆国の判例、学説を検討しつつ、実証的研究も検討した上で作成した、判断能力評価用の構造化面接を含むこれまでの研究のすべてを収録している。
目次
第1部 精神科医療における患者の自己決定権(精神科における自己決定権:問題の所在;医療における自己決定:法的考察;精神科強制治療の憲法上の根拠;治療を受ける権利;治療を拒否する権利;外来・地域治療と患者の自己決定権)
第2部 治療同意判断能力の測定(治療同意判断能力評価法:過去の研究;判断能力概念の多様性;判断能力評価用構造化面接の開発;治療同意判断能力の構造と決定要因)
第3部 理論から実践へ:患者の自己決定権と判断能力審査の将来(患者の自己決定権と患者保護の相剋;判断能力審査から情報開示審査へ)
著者等紹介
北村総子[キタムラフサコ]
1986年早稲田大学法学部卒業。1989年早稲田大学大学院法学研究科公法学専攻修士課程修了。1995年慶応義塾大学大学院法学研究科公法学専攻後期博士課程単位取得退学。1996年国立精神・神経センター精神保健研究所客員研究員(現在)。杏林大学外国語学部・保健学部、横浜国立大学経営学部、女子栄養大学非常勤講師(現在)
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