出版社内容情報
創立65周年記念、アドリエンヌ・リッチ三部作待望の復刊!
女性を無力化する一つの政治的制度としての異性愛――女たちは何を強いられ、何を求めてきたのか。「すべての女」の連帯は、どのように可能か。
女は、女であることによってのみ抑圧されるのではない。
おどろくべき高まりとひろがりをみせた70年代アメリカのフェミニズム。
しかしそのなかでなお、黒人および少数民族の女性とレズビアンたちは、人種主義と異性愛制度のもとで沈黙を強いられてきた。
アイデンティティをつきつめ、「私」と「あなた」をへだてているものと両者が共有しているものをひとつひとつ吟味しながら、
新たなフェミニズムへの道を探る。シャープでしなやかな思考に貫かれた79-85年論集。「強制的異性愛とレズビアン存在」所載。
解説、イリナ・グリゴレ(『優しい地獄』、『みえないもの』著者)。
「あなた、ユダヤ人でしょう?」
十八年間の同化訓練がたちどころに反射作用をひきおこして、私は首をふり、
彼女を拒み、「いいえ」と言っていた。
ほんとうは何に対して「いいえ」と言っていたのだろう?(本文より)
【目次】
はじめに
1 女は何を知る必要があるか
2 ロレイン・ハンスベリという難問
3 強制的異性愛とレズビアン存在
4 不服従と女性学
5 もっとフェミニズム批評を
6 根っこの裂け目――ユダヤ人アイデンティティ
7 アウトサイダーの目
8 記憶喪失に抵抗する―歴史と個人の生活
9「あそこへ行く」ことと、ここにいること
10 北アメリカの視野狭窄
11 血、パン、詩。――詩人の位置
12 女性の大学の魂
13 大学社会でのレズビアンの不可視性
14 もし他者とともにでないとしたら?
15 位置の政治学のための覚え書
訳者あとがき
解説 「彼女の知と血」イリナ・グリゴレ
原注