出版社内容情報
人間は倫理なしには生きられない
正直者はバカを見る? 結果がすべては本当か? 悪とはなにか?──リアルな問いを自分の頭で考えてみよう。日常の悩みに答える前半部と、学問上の疑問に答える後半部の二部構成でおくる、Q&A式・カント倫理学への招待状。
内容説明
日常の悩みから学問上の疑問まで、カント倫理学で考える32問。
目次
第一部 日常生活での悩み(私嫌われているみたい;仕事ができない;論理的になりたい;これは偽善なのか;自分の欲深さがイヤ ほか)
第二部 学問レベルの疑問(すべての行為は道徳的善か悪のどちらかなのか?;理由もなく命令するのか?;行為の結果について考慮する必要はないのか?;完全義務と不完全義務とは?;自殺や嘘の格率が普遍化された場合、矛盾が生じるのでは? ほか)
著者等紹介
秋元康隆[アキモトヤスタカ]
1978年生まれ。高校卒業後に一般企業に就職するも、同じ作業の繰り返しの日々から、生まれてきたことの意味や目的について考えるようになる。本格的に倫理学を学ぶことを決意して退職。予備校通いを経て、日本大学哲学科に入学。カント研究所の所在地であるトリア大学(Universit¨at Trier)において、カント協会会長であるBernd D¨orflinger教授のもと、博士号取得。その後も同大に残り、哲学科や日本学科で教鞭を執るなどして現在に至る。ドイツ在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
98
第1部で、人生相談のような問いに、カントの言葉を援用しての回答が示されるが、どうもしっくりこない。カントと著者の主張の境目が曖昧に思えてしまう。そんな懸念を百も承知の著者は第2部で独自の解釈を披歴するが、これまで自分がカント倫理学として受容してきたものを根底から揺すぶられる感じがした。特に、思考可能性の基準を倫理基準と見做さないというのは、定言命法の普遍性の理解として驚きだった。著者は、古今の権威によるカント解釈を疑い鋭く批判するが、専門家でない私には、その善悪を判断できず、ただ当惑が広がるだけである。2025/10/16
gtn
15
喫緊の懸念「パートナーに不満」の章。相談内容は、夫が仕事ばかりして、家事や育児にかまってくれないという悩み。カントは、他者に対する"愛顧"は「増大し、我々が満たそうと考えたよりもさらに大きな空虚さを常に残す」と回答する。つまり、お互い期待以上に期待してしまうのが不幸ということ。だが、言うは易し。カントよ、あなたは生涯独身だったではないか。2025/11/26
チェアー
5
カントが社会の維持を前提に人間の倫理を組み立てているとすれば、社会が変われば倫理も変わると言うことだろうか。ある社会で「親切」が義務とされていても、別の社会では「競争」や「非協力」が義務とされるのだろうか。カントの言う普遍とは、時代や場所を変えたものであるべきと感じるが。 2025/06/05
Kooheysan
5
リアルな日常の悩みについて、カントを使って解決できるかどうかの検討をし、さらにカント倫理学を批判的に検討するという構成です。全体を通して読者に批判的対峙を求めているぶん、筆者の意欲的、かつある意味挑発的な文体が印象的です。とはいえ、カントの倫理学がかなりわかりやすく解説・整理されており、引用文も含めて、少しその主張が身近に感じられたのが収穫です。※ただ何だか誤植が多い気がします。もったいないです。2025/06/10
mawaji
4
SNSで専門家に喰ってかかってダニング・クルーガー的物言いをする人たちにモヤモヤしていたところ本書が目に入り手に取りました。「自分の主張を認めてもらうこと自体が目的化し、事実であるかといったことはどうでもよくなってしまっている状態」に陥って「客観的な情報や事実を認める気がまったくない人たちに学問的リテラシーは無益」という記述は残念ながらその通りなのでしょう。そのような方々には義務倫理学はもとより、ニコマコス倫理学の中庸を求めることも難しいのかもしれません。とりあえず体を動かして考え続けることが大切なのだ。2025/11/24




