出版社内容情報
序:目取真俊を読むということ――コンタクトゾーンの〈文学〉
第1章:雛の一撃――初期短編小説作品における〈弱さ〉の反転
第2章:寓話的悪意――『水滴』『魂込め』における戦場の記憶の形象
第3章:顔のない記憶――『伝令兵』を読むということ
第4章:輻輳する記憶――『眼の奥の森』における〈ヴィジョン〉の獲得と〈声〉の回帰
あとがき
【著者紹介】
1962年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学者。法政大学社会学部教授。著書に、『村上春樹と物語の条件』(青弓社)。共著に『戦後・小説・沖縄』(鼎書房)、『失われざる十年の記憶』(青弓社)、『ケアとサポート社会学』(法政大学出版局)など。
内容説明
沖縄出身の作家・目取真俊の初期短編小説から最近の長編である『眼の奥の森』までにいたる諸作品の「社会批評的読解」という新たな試み。文化社会学者が見た目取真文学と沖縄戦。
目次
序 目取真俊を読むということ―コンタクトゾーンの“文学”
第1章 雛の一撃―初期短編小説作品における“弱さ”の反転
第2章 寓話的悪意―『水滴』『魂込め』における沖縄戦の記憶の形象
第3章 顔のない記憶―『伝令兵』を読むということ
第4章 輻輳する記憶―『眼の奥の森』における“ヴィジョン”の獲得と“声”の回帰
著者等紹介
鈴木智之[スズキトモユキ]
1962年、東京都生まれ。法政大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翔亀
39
【沖縄70】目取真俊論が数多く出ているのは、それだけ読者を刺激するのだろう。著者は沖縄研究を専門にするわけでもなく、ケア社会学などもてがける社会学者だ。社会学は文学も対象にするので「文学社会学」という分野もあり、著者もこれを武器に目取真俊論を始めたという。しかし、欧米の<文学理論>を紹介しながら書き進められるが、結局それではダメだった、という記録になっているのが面白い。「沖縄文学はそれほど冷静に対象化して語ることのできるものではなかったからだ」(p206)。ある意味、学者としては失格だろう。しかし、誠実↓2022/04/30
スミス市松
9
いささかアクロバティックにすぎるきらいはあるものの、「伝令兵」の考察は非常に興味深い内容である。読解とはかくあるべし。2017/12/18