内容説明
昭和20年代後半から30年代前半にかけて、日本中をあたたかな笑いで包んだ「奇跡の5年間」の作品を中心に、“冒険と奇想の漫画家・杉浦茂”の魅力を網羅した、楽しくて面白いバラエテヰブツクだ。杉浦愛溢れるみなもと太郎の解説や、宮崎駿、サエキけんぞうのインタビユウなど読みどころもいつぱい。
目次
復刻作品・『ドロンちび丸』より「機械のからだ」
愉快でカワイイ杉浦キャラクターズ
おもしろ時代活劇の世界
冒険アクションの世界
奇想天外の世界
奇想奇抜への助走―戦前の作品から
ウルトラ老人の復活
杉浦茂のエッセイ 滑稽怪物と活動写真の思い出
特別寄稿
インタビュー―杉浦茂を語る
著者等紹介
中野晴行[ナカノハルユキ]
1954年生まれ。ノンフィクション・ライター、編集者。『マンガ産業論』(筑摩書房、日本出版学会奨励賞、日本児童文学学会奨励賞)、『謎のマンガ家・酒井七馬伝―「新宝島」伝説の光と影』(筑摩書房、日本漫画家協会特別賞)のほか、『球団消滅―幻の優勝チーム・ロビンスと田村駒治郎』など、さまざまなジャンルの文章を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akihiko810/アカウント移行中
23
昭和30年代前半に活躍した漫画家・杉浦茂のガイドブック。印象度B+ 「のらくろ」の田河水泡に弟子入りし、独特の絵柄でナンセンスギャグマンガを発表(代表作「猿飛佐助」「少年児雷也」)の漫画家。唯一無二の独特の絵柄すぎて、当時から孤高の存在だったらしく、そのフォロワーはほとんどいない。手塚治虫も「あの人は上手いのかね?下手なのかね?」と聞いてたらしい。 この本にコラムを寄せているのも、マンガマニアのみなもと太郎(解説と思い出)、宮崎駿と豪華。 杉浦の絶頂期は、多作だったが印税製でなく、買取だったそう2024/08/09
gtn
14
あらゆる漫画家に影響を与えた氏が、現在それほど喧伝されていないのは、手塚治虫やトキワ荘グループ等と違って、孤高だったからか。2018/03/26
ととろ
3
杉浦茂について、わかりやすく解説されていた。「ちょっとタリない名作劇場」は70代で描かれたとか!ひえ~!若かりし頃の傑作「猿飛佐助」など、読んでみたいけど、作者が生前に改稿したものがほとんどで、以前のバージョンはなかなか読めないらしい。確かに、前のバージョンのほうが面白そう。2015/07/03
米川青馬
3
読了。漫画家・杉浦茂のガイドブック。中で特に宮崎駿さんの紹介文が的を得ていると感じる。曰く「大人気とかフィーバーというのとは縁のない人で、再発見しようとか再評価しようとか、ファンが言い出してはいけない人」「あの善良さがほかにはない」「ものすごく稀有だからいまだに稀有」「なるべく無垢なもの能天気なものを描いている。そういうマンガを分析しちゃいけないんです。分析しようとするとすり抜けていきますよ」。心の底から正しいと思う。だから、あとはただただ読むべし。僕は、すごく心が疲れた時にまた取り出すつもりです。2012/07/29
紅独歩
3
杉浦茂を読まずして日本漫画を語ることなかれ!……と声高に叫ばなくても、杉浦茂は何度でも甦る。「新しさ」と「古さ」しか持たない彼は、永遠に「現在」という安住の地を失った作家だからだ。2009/03/26