内容説明
1979年―私は21歳だった。この夏、銀座で「植草甚一」展が開かれていた。旅行先のホテルのナプキンや電車の切符といった、いままで展示品にならなかったものが並んでいた。不思議な感じがした。一篇の小説にも出会った。雑誌『群像』に掲載された「風の歌を聴け」。自分たちの言葉を見つけたと思った。批評集『表層批評宣言』をリアルタイムの新刊で手にしたのも、この年だった。時代が大きく変わろうとしていることを、体感した。思想、教養、ライフスタイルの転換期のようだった。1979年とは、何であったのか。今、何であるのか。時代の深層を深く静かに読み取っていく注目の評論集。
目次
植草甚一的なるものをめぐって
生き方としての保守と主義としての保守―福田恆存と江藤淳
一九七九年のバニシング・ポイント
一九八二年の「福田恆存論」
私小説とは何か
さよならジャイアント馬場
靖国神社と「靖国問題」
東京堂書店のこと
著者等紹介
坪内祐三[ツボウチユウゾウ]
評論家。1958年、東京出身。早稲田大学文学部卒業。月刊誌編集部を経て文筆業に。アメリカ文学、明治・大正文化史を研究。『慶応3年生まれ 七人の旋毛曲り』(マガジンハウス)で講談社エッセイ賞(第17回)受賞する
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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