内容説明
友の晩年に想いをはせる。土手の雑草に心を寄せる。本や映画に男と女のままならぬ人生をかいま見る。自らの意志で死を選ぶ「ハムレット法案」の成立を大胆に夢想する…。歳をかさね、病いの待ちぶせにあって、はじめて思い至った日々に宿る「幸福の感覚」。いかにして生き、いかにして人間らしい死を迎えるか…。寝たきりのバアサマと座ったきりのジイサマを介護した日々から二十年。児童文学者がつづる、ユーモラスにして味わい深いエッセイ。
目次
煙が目にしみる
西大寺N眼科のことなど
歯が痛い!
調子はずれのレクイエム
老熟ハムレット法案
土手のサラダ菜
いろは歌留多
夢日記
幸福の感覚
秋の午餐、あるいは怯懦の日々〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
無識者
11
一人称は「私」「俺」などではない。自らをイーヨーと呼ぶ。イーヨーとはプーさんに登場する灰色のロバのイーヨーである。イーヨーの目線でものを書くという考え方は思わずまねしたいと思ってしまう。読んでいて老人の存在とは何だろうと度々思ってしまった。世代交代を余儀なくさせられ、仕事がなくなる。人間関係も長生きすればするほど回りが死んでいく。かわいそうだから社会で養うってのも積極的なものは感じられない。かうろそういうものとあきらめるほかないだろうか。2016/01/04
こけこ
2
上野瞭さんのどこからイーヨー?と思ったら、くまのプーさんの登場人物の灰色ロバからだそう。可愛いあだ名。がんと言われても、文章からは切羽詰まった感が伝わってこない。故障中という言葉がぴったり。このような時間を過ごせたらいいな。憧れるし、お手本にしたい。2024/10/15