内容説明
お菓子を愛するすべての人に!愛と戦い、宗教と政治、人々の夢と情熱が結晶して、こんなお菓子が生まれた。お菓子博士がつづる絢爛豪華な100の物語。
目次
南蛮菓子編
フランスの銘菓
イタリアの銘菓
スイスの銘菓
ドイツの銘菓
オーストリアの銘菓
イギリスの銘菓
スペイン・ポルトガルの銘菓
その他ヨーロッパの銘菓
アメリカの銘菓
和菓子
各地の銘菓
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
seacalf
53
お菓子博士が古めかしいながらも軽快な筆運びで語るのは、古今東西、有名無名、数多ある魅惑的な100話のお菓子の話だ。ミッテラン大統領時代のフランスでムースが一大ブームになった理由、タルト・タタンの誕生秘話、点心と和菓子の意外な関係、羊羹の始まりは肉や魚介を入れた熱い汁等々、お菓子好きの知的好奇心を大いにかきたててくれる。昨今、目新しさばかりに注目してどんどん新しいスイーツが出回っているが、セピアの宝石といわれるスイスのプラリネ、ドイツのシュネーバレン、玉子素麺など昔からある伝統菓子が食べたくなってきた。2021/07/18
アナクマ
25
【文庫版を読了】101種、世界のお菓子うんちく集。欧米のが多くてアジアは少々、日本人の器用なアレンジ褒めが頻出したり、アフリカや中南米が見当たらないあたり少しオールドスタイルに感じましたが、人柄が想像できる穏やかな語り口。まだ見ぬ、もちろん口にしたことの無いお菓子の数々。◉旅もせずに各地の食品が試せる時代でも、出会えるものには限りがあって。この人生でのぞめる食事はあと何回あるのだろう。なんであれ、明日もまた楽しんでいただきたい。2022/03/19
ふわりん
10
20年近く前に書かれた本だけど、中身はもっと古い時代の匂いがする。著者は今で言うパティシェのはしりの人でヨーロッパで修行しているので、フランス菓子の表記の仕方も昔の本場に忠実だから古く感じるのかもしれない。私は世界のお菓子に詳しいワケじゃないのに、この本に紹介されてるたくさんのお菓子の3分の2は知っていた。それだけお菓子は今や世界を結んでいるんだろう。暖かい挿し絵はあるけど写真は一枚もないので、名前を知らないお菓子がはっきりどんなものかわからなくて残念だった。食べてみたい未知のお菓子がたくさんあった。2016/07/25
西澤 隆
7
昭和の香り漂うなんとも由緒正しい手触りの随筆は、数多くのお菓子の歴史をひとつひとつ紹介する新聞コラムを集めたもの。特に冒頭の日本に渡ってきて形をかえたり消えてしまった洋菓子の部分には興味を惹かれた。バリエーションをどんどん作るよりも純化する方向で発展させるお国柄はたとえば長崎カステイラを苺ショートに結実させたりする。もう文献上の文字にしか残っていないお菓子や、おなじルーツだけれど渡った国で全然ちがう形になったお菓子など蘊蓄もいいがこの本の「!」はたとえば秋山徳蔵の随筆につながる匂い。一応平成の本なのにね。2018/08/19
印度 洋一郎
3
著者はパティシエ界の重鎮。岩手の地方紙に90年代末に連載された世界各国の伝統的な菓子についての蘊蓄エッセイで、クラシカルな語り口の文体に懐かしさも感じさせる。内容は南蛮菓子、ヨーロッパ、アメリカ等に別れているが、やはりフランスで修行した著者らしく、フランス菓子のボリュームの多さと思い入れが滲む文章が印象的。タルト、ムース、バヴァロア、マドレーヌ、ミルフィーユなどスイーツの定番が並ぶ。この本から四半世紀経った今、マカロン、ジェラート、シュトーレンなど、日本でもお馴染みになった名前も散見出来るのは隔世の感も。2025/09/16