内容説明
明治の時代。近代科学が移植されたとき、古くからの文化と科学を融合させるべく格闘した人びとがいた。仏教的宇宙観にたって地動説をくつがえそうとした佐田介石。千里眼の研究のため大学をおわれた福来友吉。妖怪によって森羅万象を解き明かそうとした井上円了。食養学による世界の変革を夢みた桜沢如一。さらに橋田邦彦、寺田寅彦、南方熊楠、稲垣足穂…。一見、怪しくとも大真面目な研究は、迷信の時代の人々の切実な知的闘争であり、いまだ近代を超えられない私たちの課題でもある。正史からこぼれおちていた科学のフォークロアを丹念にほりおこす異色の科学者列伝。
目次
序 「龍のいる科学」のこと
佐田介石 文明開化の宇宙争奪戦
明石博高 電気神道の誕生
加藤弘之 進化の夢と悪夢
越沢渦満 色白美人に進化せよ
杉浦重剛 理学で明かす誠の道
井上円了 妖怪博士の科学的仏教
日下部四郎太 信仰物理の世界征服
福来友吉 千里眼は逆襲する
酒巻貞一郎 地球は何を食べているか〔ほか〕