内容説明
１９８３年、厳格で信仰厚い父が死んだ。４５歳、エイズだった。その日から残された家族の生活は一変し、苛酷な試練がはじまった。非難や好奇のまなざし、自分たちの健康の不安、崩れていく家族の絆…。わたしは苦い真実を、同性愛者としての父の隠された顔をおいもとめる。生涯、真実を語ることのできなかった父の鎮魂と自らの癒しのために、祈りをこめて綴る、いたましくも美しいノンフィクション。
目次
１ 仮面
２ 娘たち
３ 不吉な肖像画
４ 賛美歌
５ めざめ
６ 演技
７ ある友人
８ 崩れゆく家族
９ 父の死、その後
１０ 弟の死
１１ 出発
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yumikoit
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厳格だった父、というイメージで書きはじめられる。 しかし読み進めていくにしたがって、夢みがちな性格、理想ばかり追いかけて定職に就きにくかったり、娘にも規範的生活を押し付けている葛藤が浮かんでくる。 そして、自らの性向を受け入れることができずに結婚して悩んでいる様子が、娘にも徐々にわかってくる。 「私」に持って生まれた性向を受け入れるということはどういうことなのか話すサルという女性の言葉がとても重く感じる。2014/08/25
