内容説明
地上に残った最も重大な感染症のひとつ、マラリア。この病気を媒介する蚊は、今も世界の半数の人を死の恐怖にさらす殺人者だ。１９６２年、医師である著者はパプアニューギニアに赴き治療対策を行う。しかし２０年後に再訪すると、マラリアはさらに猛威を振るっていた。薬に耐性をもつ病原体が、出現していたのだ。ＷＨＯは莫大な資金を投入、科学者はワクチン開発競争にしのぎを削ってきたはずだった。にもかかわらず、なぜマラリアに苦しむ人々は後を絶たないのか。医学者、製薬会社、そして行政。先進国のマラリアビジネスの謎を暴き、病禍を拡大させずにはおかない現代社会の構造に鋭くメスを入れる。熱帯医学の第一人者による、迫真のメディカル・ノンフィクション。
目次
マラリア、ふたたび
インド、小さな村の子どもの死
「政府の病気」がやってきた
黒熱病の真犯人
新知識、新治療法、そして新たな流行
世界保健機関（ＷＨＯ）、救済に乗り出す
恐竜を絶滅させたのはカラ・アザールか？
妊婦アムポーンの死
猿のマラリア、人のマラリア
起源〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GASHOW
5
マラリアの原因がハマダラ蚊の寄生虫であることに人類が気が付いたのはごく最近だ。顕微鏡の発明がされたのは1800年代の後半だ。蚊にしても種類があったのでよく発見できたと思う。マラリアの撲滅のためにDDT散布については、知っていたが、その実情として品質の悪いDDTに品質の悪い散布機と集まらない人材としょぼい設備だったことは驚きだ。援助品がきちんと使われないという人間側の問題も多い。また、薬物耐性のある蚊などの存在からマラリアの撲滅は難しい。最新の遺伝子操作した蚊についてもとりあげて欲しかった。2017/07/31
