内容説明
いまを去る四百年前、宗教戦争の嵐が吹きあれた16世紀末ヨーロッパ。―腕ききの印刷職人はどこへ姿をくらましたのか。本の都市リヨンで徒弟として修業をかさねた若き植字工アベルは、ジュネーヴで夢にまで見た印刷工房の親方となった。しかし、美しく奔放な妻マルゴを雇いの刷り工に寝取られ、波瀾万丈の遍歴の旅がはじまる…。本づくりに情熱をもやした一人の男の浮き沈みのはげしい生涯を追い、ルネサンス末期の出版文化をになった人びとの魅力あふれる世界を活写する、秀逸な歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
AR読書記録
5
          
            阿部謹也先生の本など思い出しつつ読んだわけですが。記録ってすごいよね。歴史上(ほぼ)無名の、無数の人たちの存在が、きっちり後世に伝わっているのだから。実際のところ、なんらかの記録に名を残している人は、どれくらいいるのだろう。それらは全てリストアップ(研究)されているのか。また情報が紐付けされたりしているのか(それこそコンピュータの力で一気に進みそうな話である気がするけど)。どのくらい、ファミリーヒストリーが可能か。ここからどういう読書に繋げばよいかなぁ。わくわくするなあ。2018/04/26
          
        あむちむ
3
          
            場面がコロコロ変わりすぎて、ついて行けない。構成が違ったら、もっと入り込める本だと思う。歴史的物語なので、印刷の歴史や背景を知りつつ物語も楽しめるはずなのだが。昔は不倫したら投獄される国もあったのですね。衝撃。本のたたずまいは素敵。2024/11/11
          
        オペラ座のカニ人
2
          
            16世紀1500年代に起こった宗教改革の頃の物語。印刷物が出版され世の中に大きく広めることができたのもこれら印刷職人のおかげ。新聞やデパートなど今我々の身近にあるものが、どのような苦労があったのか今後もそういった本を読んでいきたい。ロシア人の見た18世紀パリを読みたい。2022/06/19
          
        fumi
2
          
            史実に基づいた小説だからか最後が尻切れトンボで気になる。印刷職人は突然の死を迎えたのか、資料で追えないような地域へ行ってしまったのか。カルヴァン派の支配する倫理的に厳格なジュネーヴについては、ツヴァイクも書いていたけれども、かなり、息苦しい社会だったのだろうか。2012/09/05
          
        

              

