内容説明
ニューヨークの町医者の家に生まれ、医学を志したトマス青年。彼の前には、1930年代の生物学や免疫学の成果をふまえた、あたらしい医学の可能性が洋々と広がっていた。死の病が、新開発の抗生物質で完治する。インターン時代、この革命的なできごとを目のあたりにし、彼はさまざまな研究に没頭する。だが「患者あっての医師」という態度は崩れない。それは、往診に駆けまわる父と、看護婦だった母の姿から学んだのだ―。臨床の現場と病理学の研究室を軽やかに行き来した著者が、生命と病気をめぐる興味ぶかいエピソードをまじえながら、自らの歩みを振り返る。「いちばん若い科学」である西洋医学の20世紀史。
目次
わが町フラッシング
父は町医者
医学が科学になるまえ
病気は治せる
インターンに休日はない
医者のしごと
私は看護婦の味方
神経学と免疫学への旅
沖縄戦線での研究生活
引っ越し人生〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mawaji
6
シッダールタ・ムカジー「不確かな医学」で取り上げられていたので図書館から借りました。人類最古の職業・技術でありながら、1930年代以降、科学としての医学の発展とともに医学生・医師・研究・医学教育に携わってきた著者のエッセイは今の時代にも通じることが多く、ムカジー氏のように学生時代やレジデントの頃に読んでおきたい一冊という感じですが既に絶版で、アマゾン中古で9000円とか法外な値段がついていました。欧米では一般読書界に広く受け入れられているとのことですが、文庫化して手軽に手に取れるようにしてホシイものです。2018/02/25