五重奏

五重奏

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  • サイズ B6判/ページ数 177p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794962201
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

パリのアパルトマンに猫と暮らす、夫を亡くした女性教師アニエス。ある朝、中庭を隔てた向かいの部屋に、新しい家族が越してくる。そこは、母が晩年を過ごした懐かしい場所だった。一家とアニエスは親しく行きかうようになる。若いピアニストと恋に落ちた夫を、苦しみながらも愛しつづけずにはいられない妻。両親の葛藤をしずかに受けとめる多感な年頃の息子。この隣人たちをかけがえなく大切に思うアニエスは、痛みの時をともに過ごしながら、追憶に心を揺すぶられる。微妙な音色で響きあう、それぞれの孤独。新しい命の誕生と、ふいに訪れる人生半ばの死―。三たびめぐる四季のうつろいのなか、人と人との結びつき、傷ついた心が癒されてゆく過程を、丹念に描いた静謐な物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobi

78
向かいに引っ越してきた一家との出会いは身近にありえて、ごく普通の形容詞が使われていたりするのに、みずみずしい。夫の心の離反を気づいていく過程も、観察眼と感性の敏感さが次第に息苦しくなるほど。それもあって著者69歳の最後の作品て意外、登場する中年に差し掛かった女性達と近い年齢での著作と思い込んでいた。平穏な生活風景に不穏さが忍びより、後半の加速は緩から急への楽章展開のよう。ただ不協和音で終わらない。”Le regard de Vincent(ヴァンサンの眼差し)”という原題を“五重奏”としたタイトルも納得。2020/03/24

ソングライン

14
夫を亡くした一人暮らしの女性教師、彼女の亡き母の暮らしたアパートメントに越して来た14歳の息子を持つ中年夫婦との出会いからの3年間を描いた物語。職を失い、小説を書くという夢も諦めかけた夫が巡り合う若い音楽家の女性との恋。それぞれが、相手への憐憫、嫉妬、不信を抱えつつ、お互いへの愛を捨て去ることが出来ず、たどり着いた平穏に心安らぐ小説でした。2019/01/06

lorca

0
ジェラール・フィリップがご主人。前のご結婚の時にすでに執筆していたとのこと。心理描写にとても深みがあり胸が痛くなったシーンが多々あり。人生ってやはりある意味で残酷、そしてその残酷さの中でも人ってどうにか生きていけるものなのだというのが感想。2011/07/08

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