内容説明
カルメンが徳子か、徳子がカルメンか―。マダム徳子、彼女こそアメリカ仕込みのミュージカルを大正期の浅草に花開かせた人である。その徳子が、なぜ、浅草から追われぬばならなかったのか?夫との愛憎の日々。演出家・伊庭孝との恋。興行師たちの黒い影。「問題の女」徳子は、懸命に歌い、力つきるまで踊り、狂乱のはてに巡業先の九州で逝く。28歳。波瀾にとんだ女優の生涯を克命に辿りながら、大衆文化わきおこる大正期の魅力を浮彫りにする。書下ろし力作ノンフィクション。
目次
序章 オペラのある浅草風景
第1章 アメリカ旅芸人
第2章 放浪―ニューヨーク、ロンドン、モスクワ
第3章 帰国、帝劇デビュー前後
第4章 浅草のサロメ
第5章 日本のミュージカル
第6章 浅草オペラ開幕
第7章 浅草追放
第8章 『カルメン』―愛の終り
第9章 徳子、狂死す