内容説明
文字を描く。文字にひそむ力をさぐり、かたちを与える。定規とペン、糊とカッターにかわる一台のコンピュータ。編集とデザインの関係を一挙に変える、新しい本づくりの手法へのひそかな企て。おびただしい描き文字装丁のうちから選りすぐった54点に、未発表「架空装丁」12点をくわえた珠玉の作品集。のびやかにして華麗、愉快にして大胆な、甲賀流「踊る描き文字」の極意をこの一冊に。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
marua
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著者の講演を聴いて、改めて読み返してみた。タイポグラフィの奥深さとかわいらしさを改めて気づかされた。フォントの使い方なんて影響うけまくりです。92年からMac導入して現在に至るまでIllustretorとPhotoshopを使いこなしているという氏にとって、PCは「訳の分からん機械」ではなく「ツール」。年齢のせいじゃないんだよPCを使えるかどうかのスキルは。そんなことも思った。「架空装丁」の作品群は、その後も世には出回らなかったのだろうか。「不連続殺人事件」、平野装丁で復刻してほしい。 2013/11/17
doji
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冒頭に付録的に差し込まれてるコンピュータについての文章を読んですこし驚いたというか、切り絵的な身体性によるデザインだと思いきや、あたまの中にある文字のかたちを出力するツールとしてのマッキントッシュを使っているということ。それがロシアアバンギャルドや街中の映画ポスターからの影響というのも、なんとも納得してしまう。つまり、理想のかたちがあたまの中にあるひとで、それを外に出すことこそが彼のデザインなのだなぁと。なんだか理想の創作観だなと思ったし、そこが惹かれてしまう理由なのが分かった。2020/07/19