内容説明
ある夏。作家ビアンカは、行く先の見えない愛のもつれから逃れて、ローマに近い海辺の町にひとり暮らしはじめる。マリーナ=「海辺」という名をもつ蠱惑的な恋人にあてて綴られた、投函されることのない78通の手紙。ビアンカはここで、過去のいっさいを明かそうとする。父に恋い焦がれた少女のころ。寄宿舎での性のめざめ。不実な男たちとのつかのまの恋。はるか年上の夫への満たされぬ思慕。そして女たちとの新しい関係…。愛と性をめぐる既成の神話を、女の声が語りなおすとき、どんな光景が立ちあらわれるか。きわめて先鋭的でありながら、同時にいにしえの語りのリズムを響かせる、喚起力ある秀作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
67
伊の作家マライーニの1981年の作品。海辺という名の女性の恋人に対する想いと主人公の性的な遍歴が綴られた78通の手軽。女性同士または女性と男性が愛し合う性愛のシーンが多い。詩的なフィルターを通した言葉が使われているので官能をくすぐられることは少ない。性的な偽善を押し付けようとする教会と、女性を自分の所有物と考える男性に対する作者の強い怒りを感じた。登場人物たちは不幸な人が多く、パートナーを見つけられない。性的な欲求だけに突き動かされて恋人を見つけようとしても、失敗すると作者は仄めかしている気がした。続く 2013/11/17
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