短かい金曜日

短かい金曜日

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  • サイズ B6判/ページ数 282p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794923585
  • NDC分類 929.73
  • Cコード C0097

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

53
短編集。後年作者が暮した米国が舞台のものもありますが、欧州の伝統的なユダヤ人の共同体を舞台とした作品が並びます。伝統的なユダヤの暮しに悪魔や人食い獣と、まるで昔話のようですが、描かれるのは聖と俗、欲望と諦念、生きる力が混沌と煮えたぎる坩堝のような世界。物語は人生へのアイロニーに満ちていて、登場人物たちの悲しくもおかしい真摯さが、小さな棘として胸に刺さってくるよう。騙され続けた男が「しんからのウソなんてあるもんじゃない」、夢で見ることもあるし1世紀後ということだってあると言う『ばかものギンペル』が好き。2019/06/13

三柴ゆよし

13
英語で執筆し、基本的にはアメリカに暮らすユダヤ人たちの生活を描いた移民二世のマラマッドに対して、ナチ先導のポグロムを逃れてポーランドから渡米したシンガーは、終始自身の母語たるイディッシュ語による執筆にこだわり続け、またその物語の多くはユダヤ教の道徳律と民間伝承に支配された、前近代的な村落空間を舞台としている。シンガーの小説に通底しているのは、地縁と血縁が解きほぐしがたく絡み合ったユダヤ人たちの世界観であり、そこではしばしば悪魔や人狼、霊魂の不滅、最後の審判などの非現実的要素が物語上大きな意味を持つ。2018/07/17

花林糖

12
イディッシュ文学作家。三つの短編集から選ばれた10話。ユダヤ教徒やその文化を軸にした物語だけど、その方面に疎くても面白く読む事が出来る(と思う)。救いがなかったり、気持ち悪さを感じたり、答えがない等様々な色を持つ物語たち。お気に入りは「クラコフからやって来た紳士」「血」「イェシバ学生のイェントル」「短かい金曜日」「天界の倉庫」。2016/02/12

**くま**

11
スティーヴン・キングがエッセイでオススメ本リストに挙げてました。なんとノーベル文学賞作家!! ・・・もともと「~賞」というのが苦手でしかも文学も苦手な私としては、「なにがノーベル文学賞だ、気取ってんな」と言いたくなるところ(性格わる~)。で、実際読んでみたらですね・・・ノーベル文学賞万歳!! ごめんね、馬鹿にして!! ですよ(笑)。ユダヤ文化という日本人には馴染みのないテーマがこんなにわかりやすく面白く読めるなんて。ホロリとくる感動も癒しもスリルもユーモアもナイス発想力も全部詰まった大満足の文学短編集。2014/09/18

キニマ

5
ユダヤ教?なのかとても宗教観を感じられる本。日本ではなかなか感じられない思想なだけに読み終えるのこそ時間はかかったが一遍一遍楽しく読むことができた。死んだ後の世界での天使の愚痴や現生こそ死者の世界という誰かさん、淫楽にふける人間の末路や悪魔の登場などいつもの小説脳ではおいてかれる物語も多々ありそれもまたおもしろい。2018/03/04

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