感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
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神話と現実の世界が自然に溶け合った世界を描く美しいファンタジー。魔女や女神、妖精などの人外の者たちが、人間とごく自然に交わるアイルランドの描写が、本当に魅力的だ。主要な登場人物の一人である牧神の吹く哀愁を帯びた笛の音が、ずっと耳の中に残る。現実的な面もあって、森の中に住む賢者が、殺人の疑いで警察に捕まってしまう。現実と幻想がぶつかり合うところを描くことにより、物語の厚みが増している。妖精たちが賢者を救うために野山から出てくる最後の場面は、幻想文学の極みと言える美しさを感じた。2017/09/23
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