内容説明
物語はある一族の一枚の写真から始まる。中央には、ドーン家の頂点をなす女ソフカ。そして彼女をとりまく４人の息子と娘たち。放蕩を尽くした夫はすでに亡い。ソフカは、このブルジョワ家庭を律する厳しい意志の女として生きてきた。だが、そのからだの奥底には、もう一人の別の女がひそんでいる―。倦怠。反目。情熱。孤独。…ドーン一族の男と女が、それぞれにたどる人生。４枚の結婚式の写真が、抗いがたい血の宿命を絵解きしていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きりぱい
1
結婚式の写真の顔ぶれは、ロンドンに暮らすブルジョアの一族。そこに写る様子から後の人生まで絵解きされる最初は、鼻もちならないような入りにくさを感じたけれど、ボス的存在の母ソフカに始まり、性格の異なる4人の子供たちの心理が積み重ねられてゆくと、ゆっくりだけれど大いなる家族の移り変わりにのまれてゆく。この著者の作品も3作目となって、好きなのは何てことない『秋のホテル』なのだけど、読みごたえならこれだ。2010/06/08
Junko ama NANA
0
ブルックナー4冊め。やはり粘質さと、マイナス人物描写で出来上がっている。読了後は、ぐったりして続けて彼女の作品を読む気にはならないが、暫くするとまた読みたくなるのが不思議。2015/11/28
fumi
0
最近英語の原作を読んだけれども、日本語で前回読んだときに素通りしてしまった箇所が気になって再読した。読むたびに時が静かに流れる別の、でも現実離れはしているわけではない世界に連れていかれるような気がする。作者はミミにちょっと肩入れしているような。ベティのことはちょっと皮肉っぽく眺めているような。2012/07/25
