晶文選書<br> スペインの短い夏

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晶文選書
スペインの短い夏

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  • サイズ B6判/ページ数 328p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794921680
  • NDC分類 236.07

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

27
組織された無規律。まるで形容矛盾のような軍隊を率いて資本家への戦いを挑む。しかし彼の求めているのは権力でも独裁でもない。仲間の兵士と同じものを食べ同じ寝床で眠る。ほとんど詩的とも言えそうな無計画で即興的な突撃、見かねた周囲が兵站と糧秣を手配する。銀行を狙っても私的な掠奪は断じて許さない。警官とアナキストとのにらみ合いの中で彼が演説するうちに警官の態度が変わって両者の交歓。警官が拳銃をアナキストに譲り、「警官が人間になる」。つい最近BlackLivesMatter のデモの報道でも同じような場面があった。2020/06/16

古川

5
伝説のアナーキスト・ドゥルティの物語を描くにあたって、エンツェンスベルガーは彼を知る人々へのインタヴューをそのまま掲載するという手法をとった。もちろんインタヴューの選ばれかたには作者の恣意性があって、自然と読む者の脳内には作者の意図通りのドゥルティが浮かび上がるという仕掛けになっている。そして、これによって、すべての「歴史」は、例え客観的資料のみで構成されていても、そこには編者の思惑が潜んでいる、完全に客観的な歴史などありえないとエンツェンスベルガーは看破しているのである。2015/11/28

kamakura

1
アナキストだからドゥルティが魅力的な人物なのか。そうとも言える。敵への組織だった包囲網を作る前に、まず敵の眼前に自分が飛び込んでいく姿はヒーローそのものだ。しかし、そうでないとも言える。アナキストではない組織者であったカストロやゲバラも、命知らずで公平無私、偶像化を唾棄し、必要な冒険は行ったのだから。 他の方の指摘どおり、アナキストは勝利するほど自己矛盾に陥る。目の前にある権力と権威をどうするのか。それを掴めばアナキストでなくなり、掴まないと無責任な冒険主義者になる。

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