内容説明
1871年。モリス37歳。この夏、彼はポニーの背に揺られて、アイスランドを旅した。終生愛してやまなかったアイスランド・サガゆかりの地を訪ねる六週間の旅だった。モリスの生涯の転機となった旅を記録した貴重な日記。氷河と火山の島アイスランドの伝説と自然と、そこに暮らす人びとの姿を精彩に富む筆致で描く。
目次
第1章 ロンドンからレイキャヴィークへ
第2章 レイキャヴィークからベルクソゥルスクヴォッルとフリーザルエンディへ
第3章 フリーザルエンディからゲイシルへ
第4章 ゲイシルから荒野を抜けてヴァス谷へ
第5章 ヴァス谷からビャルクとフルータフィヨルドへ
著者等紹介
モリス,ウィリアム[モリス,ウィリアム][Morris,William]
1834‐1896。イギリス・ヴィクトリア朝の詩人。装飾芸術家。社会主義運動家。民衆文化に基本をおいた、総合芸術としての装飾という考えをつらぬき、その実践を一つの運動として展開した。壁紙や織物のデザイナーとして、理想の書物を追求したケルムスコット・プレスの創設者として、また『ユートピアだより』の著者として広く知られるが、晩年に書いたロマンス群によって、今日のファンタジー文学の始祖としても脚光を浴びている
大塚光子[オオツカミツコ]
1943年山口県生まれ。現在、相模女子大学英語英米文学科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
58
ウィリアム・モリスのアイスランド旅日誌。サガやエッダを愛したモリスにとってこの旅は「物語の背景」を見る旅で、日記からもその「熱望と栄光」を刻印された土地にいるのだという静かな高揚が伝わってきます。そんな土地の、荒寥とした厳かな自然と、サガの時代と「ほんの少ししか変わっていない」生活を営む穏やかで慎み深い人々を描くモリスの筆は鮮やかで、慣れないキャンプや冷たい雨に悩まされる彼には悪いのですが「たっぷりと楽しい夢」を見せてもらったよう。読んだばかりのサガの地理的なおさらいもでき、それもとても心躍ることでした。2020/01/22
洋書好きな読書モンガー
21
1871年の全部で2ヶ月、アイスランド西部をポニーで6週間の旅日記。モリスにとっては大好きなアイスランド・サガの聖地巡礼。新しい土地でも十分なその地に関する知識(サガ)があれば楽しさも倍増かも知れない。19世紀に描かれたと思うアイスランドの風景画が何点も入っているがこの絵について何も説明が無いのが残念。デザイナーとしても有名なモリス、その壁紙デザインを表紙にしていて装丁も美しい。30代のうちに2ヶ月休みが取れたらこんな旅も楽しいだろうな。70歳定年になりそうな日本、1ヶ月休みが定着して欲しいものだ。2025/04/10
アルクシ・ガイ
6
アイスランドは私も旅をしたことがある。言っては何だが、五指に入るほどにつまらない国だった。なのにモリスの目を通すとどうだ。はるかな北の島から吹いてくる、湿った冷たい風を感じることができる。モリスというと壁紙しか知らなかったが、彼のファンタジーも読んでみたい。2016/05/24
ふくろう
2
ウィリアム・モリスの北欧神話オタクぶりが爆発している。ずっと「これがあの物語の土地か」「これがあの事件の起こった場所か」とエッダとサガにまつわる話をし続けていて、マニアが聖地巡礼する姿そのものである。いつの世もマニアやオタクの行動は変わらない。 https://owlman.hateblo.jp/entry/2019/10/20/121723 2019/11/30
misui
1
再読。退屈な描写が大半を占めていてしんどいことこの上ないが、これが19世紀のアイスランドの地を旅した生の感触を伝えているのだと考えると、とても貴重で得がたいものだということに気付かされる。2010/01/24
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