内容説明
14歳のホーマーは、イサカの町の電報配達。彼が運ぶ青年たちの戦死の知らせは、人びとを悲しみのうずにまきこむ。やがて自分の兄の死を最愛の母に伝える日が訪れた…。一家をささえて働く少年の目にうつる、生と死が織りなすせつなくも感動あふれるドラマ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
空虚
16
まるでおとぎ話から抜け出してきたような架空の人々、架空の国、架空の町(その地名、その通りの名がアメリカ大陸のどこかに見つかるとしても!カリフォルニア州のある都市の風景と瓜二つだったとしても!)。けれども、彼や彼女ら、あるいは死者が口にする言葉、したためる手紙、そして彼や彼女らが歌う歌には、一抹の真実がある。14歳の電報配達夫が兄の戦死を告げる電報を家族に届けるということ。大傑作。2016/05/23
秋 眉雄
12
「きみは自分自身に対して感謝するんだよ。うん、きみ自身にね。ありがたいと思うんだ。」素晴らしかった。大事な一冊と出会った気がします。2016/12/28
ぱせり
9
思えば、この物語は家に帰る物語であったかもしれません。最後にとても大きな「家に帰る」場面に出会います。沁み入るような喜びとともに。この「家」は、神さまの家だったのかもしれない。そして「イサカ」という町が、帰るべき「家」そのものであった、と思ったのでした。 2013/06/20
NAO
8
イサカは、架空の町。戦時下のアメリカで、家に帰りたい人々と、帰りたいのに帰れない人を優しく心にしみる言葉で書いている。ホーマーの健気さ、ユリシーズの無邪気さが、戦時下の暗い雰囲気をほのかに明るくしている。温かさとやさしさに溢れたイサカこそ、帰るべき家なのだと思う。2015/05/08
relaxopenenjoy
7
架空の街イサカ(カリフォルニア州フレズノがモデル)のマコーレー一家のお話。14歳の聡明なホーマー、4歳のユリシーズ、電報局長 スパングラー、老電信士のグローガン、ビッグ・クリス、新聞売り子オーギイ、古代史のヒックス先生などなど、魅力的な登場人物。父は戦死、母は女手一つで4人のきょうだいを育てる。長兄は出征。母の語りが深い。ユリシーズが天使。愛に溢れている。山口マオ(絵本のわにわにシリーズは読み聞かせしてお世話になった)の表紙や挿絵も力強くgood。ちなみに子は勝手に杏の木の章から「杏」の漢字を覚えた。2025/05/31
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