死の現場に立つ人たち - ご遺体のそばには「人」がいる

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  • サイズ 46判
  • 商品コード 9784794813206
  • Cコード C0036

出版社内容情報

誰かがやらなければならない!その時、私たちにそれができるだろうか?
現場の証言の中に「生を守る」術を探る迫真の記録

 みなさんは、死んだあとに何が起きるのか、知っていますか? 遺体が発見されるまでの日数、腐敗が進んだ室内を清掃する人の存在、損傷した遺体を修復し、家族のもとへ送り届ける技術、孤独死が起きた部屋に次の入居者を迎えるまでの不動産業者の葛藤、東日本大震災の被災現場でご遺体の収容に携わり、仲間の自殺とも向き合いながら生きる元自衛官の記憶――本書は、こうした「死の後始末」を担う人たちへのインタビューをまとめたものである。
 2025年の自殺者数は1万9000人を超え、2024年に自宅で孤立死された人の数は7万6000人以上に上る。自殺は「死を選ぶ行為」であり、孤立死は「死に選ばれた結果」とも言える。どちらも「孤独」と「孤立」の先にあるものだ。統計はその事実を数字として記録するが、その後に何が起きるのかはすくい上げない。記録ではなく、「記憶」しているのは現場の人たちということになる。
 特殊清掃業者は、「孤独死は防げない。でも、早く見つけることはできる」と言う。遺体管理師は、「依頼者は優しい人ばかりだから、いいエピソードしかないです」と言う。不動産業者は、「親に迷惑かけちゃうって想像はされると思う。そこで少し考えてもらえれば」と言う。そして元自衛官は、「日常の声かけがもっとも重要だ」と言う。死に向き合う仕事をしている人たちは、誰もが「生を守ること」を考えていた。
 宮古島出身の社会福祉分野の研究者として私は、これまで自殺対策をテーマに研究と執筆を続けてきた。講演などで学生たちに死後のリアルを話すたびに「うわー」という声が漏れる。「死」を自分事として捉える瞬間である。この瞬間に私は、「抑止力」の芽生えを感じてしまう。死んだあとに何が起きるのか、それを知ること、それを想像することが、孤独・孤立のなかで「死を考えている人」を引き留めることにつながるかもしれない。
 死は、一人では完結しない--この事実を多くの人に知ってほしい。(はなしろ・しょう)


【目次】