出版社内容情報
死にたいと感じている/感じたことのある人、残された人、
寄り添う人の「声」に耳を傾け、共感と対話の予防策を提示
「なぜ人は自殺するのか」を研究テーマとしてきた筆者は、行政機関での自殺対策にも携わっている。ある日、離島でのインタビュー後に後輩がふと漏らした「死にたいと感じた時の相談窓口は、一つのほうが迷わなくていい」という一言がきっかけで、住民や当事者自身の「生の声」に焦点を当てることにした。八か月にわたるインタビューを中心に、地元で「自殺が多い」とされる地域のデータと聞き取り結果で実態を示し(序章)、「自殺の現状」(第1章)を概説する。続く第2章では、①大学での自殺予防教育、②学生を亡くした教員の苦悩、③民間の自殺予防電話相談に携わる大学生の「声」を取り上げる。希死念慮に囚われた人に寄り添う大学生の「信念」は、想像をはるかに超えるものであった。
そして第3章では、過去に自殺を企図したことがあり、現在は相談者として活動する人物の語りと、その人が所属する「国際ビフレンダーズ大阪自殺防止センター」の取り組みを紹介しているが、これは当事者視点から「支援の可能性」を探る意図による。これまで公には語られてこなかった活動内容を知ることで、読む人が自殺を「自分事」として捉える機会になるはずである。
残りの章では、筆者の専門である「離島の自殺」に焦点を当て、高校生の「島立ち」を支える大学生の取り組みなどを紹介するほか、フィリピンでの海外視察、カトリック社会における若者の自殺増加傾向、出稼ぎと家族関係、SNSの影響など、グローバルな課題を提示している。
本書の取材は自然発生的な対話から生まれたものが多い。それだけに、「身近な声に耳を傾ける重要さ」が伝えられたと思う。SNSもAIも、「心の拠り所」にはなりえない。見過ごされがちな声に光を当て、「共感」と「対話」で成り立つ社会となることを願っている。(はなしろ・しょう)
【目次】
内容説明
「なぜ、人は自殺するのか」を研究テーマとしてきた筆者は、行政機関での自殺対策にも携わっている。ある日、離島でのインタビュー後に聞いた「自殺したい時の相談窓口は、一択のほうが迷わなくていい」という声がきっかけで、本書では、住民や自殺企図者自身の「生の声」に焦点を当てることにした。8か月にわたるインタビューを通して明らかになったのは、元自殺企図者であり、現在は相談者として活動している人物が語る内容の生々しさであった。自殺企図者の視点から「支援の可能性」を探ったことで、みなさんにとっても「自殺」という行為は他人事ではなくなるだろう。
目次
序章 「自殺が多い」と呼ばれているところ
第1章 日本における自殺とその取り組み
第2章 大学生について考える
第3章 自殺企図者から支援者へ
第4章 離島における自殺
第5章 フィリピン共和国パナイ島イロイロ洲
著者等紹介
波名城翔[ハナシロショウ]
1983年、沖縄県宮古島出身。西南学院大学大学院修士課程修了。精神保健福祉士/社会福祉士。障害福祉サービス事業所、県立病院、市役所職員(高齢、障害、生活困窮)を経て大学教員へ。琉球大学人文社会学部人間社会学科 准教授。専門は、島嶼における精神障害者支援、島嶼の自殺対策。著書として、『自殺者を減らす!―ゲートキーパーとしての生き方』(新評論、2024年)、『離島の光と影―「シマ」の観光と自殺』(新評論、2025年)がある。2023年10月より、沖縄県公立学校教職員メンタルヘルス対策検討会議委員。2023年11月より、沖縄県自殺対策連絡協議会委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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