出版社内容情報
形式的な話し合い・発表型授業を脱し、真に「主体的・対話的で深い学び」を実現するための支援・促進型指導を具体的に詳説!
2016年の中央教育審議会答申において、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善に向けて、集団の中での個人に着目した指導や子ども同士の学びあい、多様な他者とともに問題の発見や解決に挑む協働的な学びの実現が求められました。しかし実際には、とりあえず話し合いや発表の時間を授業に取り入れるという形式化・形骸化の事例が多く見られ、求められている「深い学び」につながる授業改善になっているとは思えません。
筆者は、本質的な授業改善の鍵は、教師と子どもの「関係性の再構築」にあると考えています。だからこそ、教師の指導のあり方を問い直し、「指導する者」から「支援する者」へ、「管理する者」から「ファシリテーター」へとパラダイムシフトすることが喫緊の課題であると捉えています。「ファシリテーター」としての教師とは、「学習者が表明するニーズに応えて、学習者の成長と変化を促し、支える」役割を担う者です。そして、ファシリテーターとして生徒指導にあたるということは、子どもたちの主体性を重んじ、人格の尊厳を損なうことなく、真摯に向きあうということです。教師が子どもたちの可能性を信じ、失敗を恐れずにチャレンジできる環境をつくれば、子どもの成長を支援できるのです。
特別活動は、このような理念に基づいた生徒指導を実現する絶好の場です。学級活動、児童会・生徒会活動、学校行事--これらは本来、子どもたちが主体的に参加し、民主的な意思決定や協働的な問題解決を体験する機会に満ちています。本書では「マインドフルネスの実践」、「感情コントロール」、「自己効力感の向上」などのキーワードで、この機会を活用するための具体的で実践可能な方法を示し、特別活動を通して生徒指導のあり方を見つめ直せるよう試みました。
子どもたちが自分らしく輝ける学校づくりを目指す、すべての教育者に読んでいただければと思います。(やまなか・のぶゆき)
【目次】
内容説明
子どもも教師も輝く教育への転換。「対話」と「参加」で育む市民の力。「やらされる」から「やりたい」へ。
目次
第1章 生徒指導とは(生徒指導のイメージ;学校教育と生徒指導の推移と社会的背景 ほか)
第2章 生徒指導と学級活動(特別活動とは何か;特別活動や授業における教師が陥りがちな生徒指導の落とし穴 ほか)
第3章 生徒指導と児童会・生徒会活動(児童会・生徒会活動の本質と現代的意義;生徒会活動の現代的課題と改善への道 ほか)
第4章 特別活動における学校行事とは(学校行事の教育的位置づけ;学校行事の意義を再考する ほか)
第5章 特別活動における「心の知性」と「ウェルビーイング」を育む生徒指導(自分らしい幸福な人生を歩むための力を育む生徒指導;ウェルビーイングの理解と重要性 ほか)
著者等紹介
山中信幸[ヤマナカノブユキ]
1958年兵庫県尼崎市生まれ。現在、大学非常勤講師、社会教育士、開発教育ファシリテーター。各地で人権教育や伝え方、問い方、授業づくりなどの研修講師として活動中で、JICA関西、JICA中国教師海外研修アドバイザーを務める。1981年~2015年まで、3校で中学校・高等学校の社会科教師。2015年~2023年まで、川崎医療福祉大学教授(専門:学校教育学・教師教育学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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