出版社内容情報
生徒一人ひとりに適した学びを提供するには何が必要か?
一斉授業の殻を破り、生きた授業を始めるための最新ノウハウ満載
「授業とは、一つの目標に向けて、一つの教材を用い、一つの指導計画に沿って一斉に進められるものだ」―教師だけでなく、生徒も、保護者も、このように思いこんでいないでしょうか?
確かに現実の教員養成課程では、長らくこうした「一斉授業」が指導されてきました。しかし、そのような授業がすべての生徒にとって最適だとは言えません。生徒は一人ひとり、それぞれに興味・関心の対象を持ち、授業内容の習得レベルも、学ぶスピードや学び方も異なります。一斉事業では、こうした生徒の多様性に対応することはほとんどできません。しかも、目標や計画を立案する、失敗を次に活かす、リーダーシップを高めるといった、実社会で必要となる力を養成することも、一斉授業ではとうてい望めないのです。
では、生徒一人ひとりがそれぞれに合った学び方を通じて目標に到達できるようにするためには、何から始めればよいのでしょうか。その鍵が本書にあります。まず本書では「学習センター」の設置が提案されます。これは「教師の継続的な指示を必要とせずに、生徒が自立的に学べる教材を用意したコーナーを、教室内に複数設置する方法」です。そして学習センターのつくり方や発展のさせ方、豊富なヴァリエーションなどが、教師の失敗談や教室でのエピソードも交えつつ、具体的かつ鮮やかに解説されます。一斉授業からの脱却を目指して奮闘している教師を挑戦にいざない、アイディアと閃きを与えてくれるものと確信しています。
しかし、授業改革は教師だけで成し遂げられるものではありません。管理職や教育行政職員、学校図書館司書など学校関係者や、地域の人々、そして教員養成に携わる大学教員の協力が不可欠です。ぜひそうした方々にも本書を一読いただき、一斉指導を乗り越える気運が教育界全体に広がることを願っています。(こが・よういち 島根県立大学准教授)
内容説明
学びの意思決定力と責任感が育つ「学習センター」での教え方。すべての準備と決断は、教師にかかっている!
目次
ハック1 「調和のとれた混乱」のなかで学ぶことを教える
ハック2 空間をデザインする
ハック3 生徒と一緒に学習センターを発展させる
ハック4 隠れたリーダーを呼び覚ます
ハック5 生徒のアカウンタビリティーのレベルを上げる
ハック6 学びのなかでつくりだされるデータをチェックする
ハック7 生徒の情熱をより深く掘り下げて調べる
ハック8 どこまでも成長し続ける状態を後押しする
結論 未来は生徒たちの手のなかにある
著者等紹介
サックシュタイン,スター[サックシュタイン,スター] [Sackstein,Starr]
20年にわたり中高生に英語とジャーナリズムを教えたあと、ニューヨーク市郊外で教育委員会指導課長を務めた。現在は、教育コンサルタントとして活躍中
ターウィリガー,キャレン[ターウィリガー,キャレン] [Terwilliger,Karen]
34年間、幼稚園~中学校で教えたのちの2020年に退職後、共著者の協力を得て、本書を執筆。選択を提供すると子どもたちは夢中で学ぶので、新任時の4年生担任の時はプロジェクト学習に力を注ぎ、その後14年間は幼稚園で学習センターをベースに教えた。キャリアの終盤に中学校の教師となり、幼稚園で培った学習センターのノウハウを中学校の授業に応用すべく努力した。現在は、そのノウハウを教師たちと共有する活動を展開中
古賀洋一[コガヨウイチ]
島根県立大学で国語教育を教えています。ノンフィクションの読みの授業や、学校司書とのコラボレーションによる授業づくりについて研究
竜田徹[タッタトオル]
佐賀大学教育学部准教授。ことば・文学・読書の学びの理念を探究中。趣味は風景写真とパン作り(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。