内容説明
「善」を到来させるための条件。ユダヤ人強制収容所送りを食い止めた国、ブルガリア。政治上の善を可能にしたこの国の土壌に迫り、「権力を前にした無力」を克服した人々の行動・感情に学ぶ。
目次
1 善のはかなさ(できごとの経過;記憶の競い合い;なぜ、そしていかにして;書誌説明)
2 資料:ブルガリアにおけるユダヤ人救出(排除;強制収容所送り;居住地指定;回想)
著者等紹介
トドロフ,ツヴェタン[トドロフ,ツヴェタン] [Todorov,Tzvetan]
1939年ブルガリア、ソフィア生まれ、2017年パリで死去。当初構造主義的文学理論家として出発したが、1980年代から他者、全体主義体制における人間の精神生活、善悪二元論といった問題に関心を寄せるようになり、作家論、美術論、現代社会論といった幅広い領域で活発な執筆活動をおこなった
小野潮[オノウシオ]
1955年生まれ。中央大学文学部教授。19世紀フランス文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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にしの
4
第二次世界大戦下には、数多くの悪がなされた。そのような中、ドイツの同盟国ブルガリアではユダヤ人の絶滅収容所への移送が防がれた事態があった。他のドイツ同盟国や占領地の多くで絶滅政策が遂行されたにも関わらずにである。戦争の中の小さな善を為したものは何であったか。哲学者トドロフは英雄や物語ではなく、この事態に関係する複数のテキストからそれを探る。善を為したものに答えは出ないが、ブルガリアのユダヤ人を助けたものはイデオロギーによって構築された理性に見せかけたものではなく、より感情的なものあった。2021/09/10
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