出版社内容情報
日本語に通暁したフィンランド人のインタビューを通じて見えてくる素顔のフィンランドとは。相互理解を深めるユニークな日本語論!
外国についての情報は、巷に溢れる既存のイメージによって左右されることが多い。「森と湖の国」フィンランドについて、日本人は何を知っているだろうか。ムーミン、オーロラ、北欧デザイン、そしてPISAテスト(OECD=経済協力開発機構が実施する、生徒の学習到達度に関する国際的調査)での学力世界一、といったステレオタイプを脱し、一歩踏み込んだ言説が聞かれることは稀である。本書は、「フィンランド人の日本語観」を通して、既存のイメージを超えたフィンランドを紹介しようとするものだ。原書はヘルシンキ大学で日本語を学ぶフィンランド人学生たちが、「フィンランドにおける日本語」をキーワードに、各界で活躍するフィンランド人にインタビューしたものである(抄訳)。邦訳にも同大学の学生たちと日本語教師からなるチームがあたった。インタビューの対象者たちの職業や経歴は多岐にわたっている。大学で日本語を学んだ外交官、日本育ちの文化研究者、翻訳家、教育文化省や教育庁の言語教育担当者、フィンエアーの幹部らが、各々の日本語とのかかわりを語る。そこから時には語る人の個人史が、時には言語教育政策や日本文化についての考察が浮かび上がる。彼ら彼女らが異口同音に言うのが、「日本語を知らずして、日本文化や社会を理解することはできない」ということである。そしてこの信念があるゆえに、日本との興味深い比較を通じて「既存のイメージを超えたフィンランド」の一面が垣間見えてくる。本書を読んで、日本とフィンランドの関係が個人のレベルでこれほど広く深く進んでいることに驚かれる方も多いかもしれない。インタビューではしばしば「日本人とフィンランド人は似たところがある」と、日本への親近感が表明されている。遠く離れた北緯60度の国の人々がこのような親しみを持つに至った経緯を知ることで、私たちは自国の言語や文化を外部の視点から捉え直す機会を得るとともに、素顔のフィンランドにふれることができるだろう。本書を通じて、日・フィン間の相互理解がより深まればと願う。(監訳者 植村 友香子)
内容説明
「森と湖の国」フィンランドについて、日本人は何を知っているだろうか。ムーミン、オーロラ、北欧デザイン、そしてPISAテストの学力世界一、というステレオタイプから一歩踏み込んだ言説が聞かれることは稀である。本書は、フィンランド人の語る日本語観を通して、既存のイメージを超えたフィンランド紹介である。ヘルシンキ大学で日本語を学ぶフィンランド人学生達が、各界(官僚・研究者・翻訳家・企業人など)で活躍するフィンランド人にインタビューして出来上がったのが本書だが、なんと邦訳も、学生達と日本語教師というチームが行っている。
目次
茶道の弟子から博士に
日本通の外交官の様々なる顔
言語の機能を測る
もてる力を活かそう
日本についてフィンランド語で書いてみたい
多様な言語教育のために
心はシベリアの上空に
G・J・ラムステッド―学者、フィン日外交関係を樹立した外交官
狭い趣味のサークルからフィンランド全土へ
アジアの諸言語をフィンランドの学校にも〔ほか〕
著者等紹介
植村友香子[ウエムラユカコ]
1965年生まれ。香川県出身。1989年、お茶の水女子大学文教育学部国文学科卒業。1991年、お茶の水女子大学大学院修士課程日本文学専攻修了。1993年、お茶の水女子大学大学院修士課程日本言語文化専攻修了。1993年から4年間、国際交流基金派遣日本語教育専門家としてヘルシンキ大学アジア・アフリカ言語文化学科(当時)で日本語教育を担当。1998年からヘルシンキ大学日本語講師を務めている
スメードルンド,オウティ[スメードルンド,オウティ][Smedlund,Outi]
1979年生まれ。2005年、ヘルシンキ大学修士課程修了(日本学専攻)。1996年にYFU(Youth For Understanding)の留学プログラムで神戸山手女子高校に1年間留学。ヘルシンキ大学在学中の2000年から1年、文部省(当時)の日本語・日本文化研修生として北海道大学で学んだ。ヘルシンキ大学、ヘルシンキ夏期大学、メトロポリア応用科学大学で日本語非常勤講師を務める。ヘルシンキ大学博士課程に在籍中。フィンランド・日本語日本文化教師会およびフィン日協会の役員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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