出版社内容情報
入試にも、古典再入門にも! 択一クイズを楽しみながら、正確に古文が読めるようになる、実戦的・決定版文法書!
私は個人塾の古文教師である。都内で国語専門塾「A・S・N ニルの学舎」*を主宰している。平成元年(1989年)の開塾なので、今年で創立23年、この業界では老舗である。30歳の時、『源氏物語』を読むための独自の教材を作り、それをもとに大学受験生に26年間、古文を教えてきた。これまでに教えた生徒は約4000人。首都圏では一定の評価を得たと自負している。この経験をベースに今回出版するのは、まず第一に大学入試の即戦力となり、しかも社会人の古典再入門にも有用な、古文の文法書である。書店には、主に大学教授の書いた専門書と、予備校講師が大学受験生向けに書いた2色刷りの概説的な入門書が並んでいるが、共に「帯に短し襷に長し」の感は否めない。専門書は重た過ぎるし、入門書はほとんど金の無駄という感じがする。また専門書・入門書ともに、文法解説の手法が型にはまっていて、実戦向きとは言いがたい。受験生が本当に必要としている文法書とは、読み進むにつれて学力の向上が実感でき、「これなら入試で得点できる」と確信させてくれるものであるはずだ。本書は、受験生にその確信をもってもらえるように、そして一般の方々にも「これなら文法力がつきそうだ」と思ってもらえるように書いた。また、「これだけやれば基礎力が十分につく」という意味で、標題に[基礎編]と付した。古典文法というと、暗記を強要された不愉快な記憶しか残っていない方が大多数ではないかと思う。誠にお気の毒としか言いようがないが、実は古典文法は暗記するものではない。江戸時代後期に国学者が文法を作った目的は、『源氏物語』などの古典を正確に読むためであった。つまり文法とは、古典を正確に読むための道具なのである。古典を読み、わからない一節につき当たったら文法書を広げる。品詞分解して正確に訳してみる。この作業を繰り返せば、次第に文法書など開かなくても古典が自力で読めるようになる。本書を読めば、この作業の手法を、択一クイズ形式で楽しく身につけることができる。「古典離れ」が言われるが、その一番の原因は文法の教え方の失敗ではないだろうか。古典を原文で読めれば、訳本の間違いがわかるし、くずし字がわかれば、博物館で一日楽しむことができる。本書によって、1人でも多くの方が「文法嫌い」を脱し、「正確に読める」ようになることで古典の世界に親しんで下さればと願う。(著者 松本憲和)