出版社内容情報
「辺境」として遅れをとっていた自治区が今や「先端」に!その産業化の大きなうねりを捉え、東アジアの未来を展望。
中国は78年末に経済改革、対外開放に踏み出し、その後、沿海地域は驚異的な発展を実現してきた。中国南部に位置する広西★こうせい★チワン族自治区(旧、広西省)の北海市も当初、沿海開放都市の対象として挙げられていたのだが、最も遅れをとってしまった。関係の難しかったベトナムに近接する防衛の前線であるなどの歴史的条件が横たわり、基礎産業、重要産業が育たなかったのである。しかし、2000年代の初めになると、中国産業発展の象徴的な地域である広東省の珠江デルタと、ハノイを中心とするベトナム北部との関係が密接になり、そのおよそ1000キロのエリア(同自治区を含む)に、北東アジアと東南アジアの結節点、交流拠点としての期待が寄せられていく。広西チワン族自治区は陸でベトナムと接し、さらに海側には優れた港湾能力を内包している。しかも、事実上、中国沿海の最南端に位置する。このことはASEAN(東南アジア諸国連合)、インド等の南アジアに最も近いことを意味する。また、自治区の背後には人口2億人の四川省、重慶市、雲南省、貴州省、チベットからなる中国西南地域がひかえている。そして、現在、冷戦時代を通じて閉ざされていたこのエリアが一気に開かれようとしている。首府である南寧市にたどり着くと、そこは緑あふれる美しい近代都市であった。これほどの都市が「遅れている」はずのこの自治区にあることに感動した。広西チワン族自治区は、一転して東アジアの「交流の時」の焦点となっていた。「辺境」がまさしく「先端」に転じていたのであった。本書は、以上のような広西チワン族自治区の産業化のうねりを明らかにし、広く伝えていくことを目的とする。東アジアが歴史上最大のうねりをみせ、新たな「交流の時」を迎えている。その前線に位置する広西チワン族自治区の産業の「現場」から、私たちは来るべき「未来」を痛感していくことになろう。(編者 関 満博)
内容説明
陸でベトナムに、海でASEAN・南アジアに接し、優れた港湾能力を秘める広西チワン族自治区。その産業化と人びとの「出会い」の最前線から、アジア経済交流の未来と可能性を眺望する。
目次
「新たな時」に向かう広西チワン族自治区
第1部 広西北部湾地域発展の基本構造(中国―ASEAN関係と広西チワン族自治区;広西チワン族自治区の産業経済;北部湾開発計画の展開)
第2部 北部湾地域企業の発展方向(地域資源と低賃金を求めた日本企業進出;地域資源の産業化の推進;広西産業化の新たな可能性;広西チワン族自治区の林業)
第3部 産業発展の新たな可能性(広西チワン族自治区の国境貿易;広西チワン族自治区金融の変化と発展;北部湾地域の成長を支えるマーケティング戦略)
広西チワン族自治区産業化の新たな展開
著者等紹介
関満博[セキミツヒロ]
1948年富山県生まれ。1976年成城大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。専修大学助教授、一橋大学大学院教授を経て、明星大学経済学部教授。一橋大学名誉教授。博士(経済学)
池部亮[イケベリョウ]
1969年東京都生まれ。2006年青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了。現在、日本貿易振興機構広州事務所次長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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