出版社内容情報
黙って仕事をしていれば、誰かが認めてくれ引き立ててくれるという時代は終わった。これからは、自ら社会を分析・解読し、考察・判断し、自分の意見を表明しなければならない。とりわけ「世界経済危機」が言われ、未来の見えない混迷の時代においては、そのような能力が何よりも求められる。自分の思考と表現を磨いてこそ、危機に翻弄されることなく未来を切り開いくことができるからだ。
そのために必要な能力とは、〈読む力〉と〈書く力〉にほかならない。真の読む力を養うことによって、情報洪水に溺れずに知識を取り入れることができるようになる。社会を分析したさまざまな文書や書物を読解し、さらにその読解を発展させて自分で社会を分析する力を増すことができる。そして論理的に書く力をつけることによって、読み取った知識の精度を高め、ビジネスの場で自分の考えを的確に表現したり、さまざまなメディアに発信することができる。
では、具体的に何をすればよいのか。私が薦めたいのは、東大・慶應の小論文入試問題に挑戦してみることだ。これは実際に大学合格をめざす人だけでなく、「大人の読解力・文章力」を身につけたいすべての人に有効な手段だ。この二大学の小論文入試問題はさすがによく練られており、しかも現代社会の動向を敏感に分析して作られている。これらを読み、解くことによって、現代の問題がおのずと理解できるし、自分の考えがまとまってくるはずだ。さらに自分で解答を書いてみることで、説得力のある意見を述べることができるようになる。
本書は、そのような意図のもとに書いた旧版『大人のための〈読む力・書く力〉トレーニング』を大幅に改訂したものだ。初版刊行から五年を経て、世界の状況はめまぐるしく変わった。今回の新版ではそれらの変動もふまえつつ、現在求められている情報力・読解力・表現力を分析した。もちろん「ここを押さえれば書ける」という樋口式小論文作法、東大・慶應の最新入試傾向も解説してある。なお、東大は昨年入試制度が変更になり、まだ傾向が定着していないため、旧版の記述は大幅に割愛したことを付け加えておく。(ひぐち・ゆういち)
内容説明
一生モノの文章術!手ごわさゆえの有効性。東・慶入試問題で頭脳を磨くべし。2000年代後半以降の新動向を大幅加筆した最強・最新版。
目次
プロローグ 大人の“読む力・書く力”を身につける理由
第1章 混迷の時代にこそ役立つ情報ツール“入試小論文”への招待(ホンモノの文章力とは何か;「うまい文章」とは何か ほか)
第2章 東大・慶應小論文は“知の基層”の「名曲アルバム」だ(なぜ東大・慶應小論文なのか;東大・慶應小論文学部別特徴)
第3章 東大・慶應の文章力を身につけよう―究極の小論文作法(小論文とは自分の意見をイエス・ノーで答えるもの;物語の「起承転結」にあたる「四部構成」をマスターせよ ほか)
第4章 大人の“読む力・書く力”実践編(慶應の小論文―日本の「いま」を知る;東大の小論文―知的総合力の腕試し)
著者等紹介
樋口裕一[ヒグチユウイチ]
1951年大分県生まれ。多摩大学教授。早稲田大学第一文学部卒業後、立教大学大学院博士課程修了。フランス文学、アフリカ文学の翻訳家として活動するかたわら、通信添削指導による小論文ゼミナール「白藍塾」を主宰。小学生から社会人まで幅広い年齢層を対象にした独自の文章指導によって、「小論文の神様」と呼ばれている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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a43
takao
みみっちい二十九