出版社内容情報
「生きられる現実」と対峙し、フランス文化の輝きの背後に巣食う深刻なニヒリズムを力強く克服する!
20世紀後半のフランス文化、厳密には第二次大戦終結以降約40年間のフランス文化―哲学ではサルトル、メルロ=ポンティ、フーコー、デリダ、ドゥルーズ、文学ではバタイユ、ブランショ、ロブ=グリエ、ソレルス、ビュトール、芝居ではアルトー、イヨネスコ、ベケット、美術ではジャコメッティ、スタール、ビザンティオス、映画ではゴダール、レネ、マル、音楽ではブーレーズ、さらには人類学のレヴィ=ストロース、精神分析のラカン、生理学のジャコブ、モノー、批評・社会学のロラン・バルトといった綺羅星たちが居並ぶ中、過去の巨星たちが甦り(ルーセルの芝居、マネの絵画など)、外国特にドイツ語圏から物故存命を問わず大きな星たち(ヘーゲル、フロイト、ブレヒト、ハイデガーなど)が招き入れられ輝きを増す眩いばかりの小宇宙。本書は、この小宇宙のメモワール、つまりこの小宇宙を「生きる」著者が現在形でその「生きられる」小宇宙を濃密な言葉で見事に表現した作品である。なるほど私たちはこの小宇宙から生まれた作品を書店・図書館・美術館・劇場・映画館・コンサートホール等で目の当りにし、しかもそれらの作品についての情報も既に山ほど手にしている。しかし私たちの目の前の作品とこの小宇宙との深い溝は、それらの情報によって埋められているだろうか。入門・紹介・解説さらには研究という名の情報は、この宇宙の「生きられる現実」から距離をとったところに無色・無害なものとして現れ、むしろ逆にその溝を広げる。本書は、この「生きられる現実」から逃げることを拒否し冷静な観察力と鋭い洞察力をもって、同時代のフランス文化に巣食う深刻なニヒリズムを暴き出し、しかも力強くそのニヒリズムを克服する道を提示している。
内容説明
文化の輝きの背後に巣食う深刻なニヒリズムを力強く克服。学問・芸術の綺羅星たちが輝く眩いばかりの小宇宙=フランス現代文化。この小宇宙の真っ只中で「生きられる現実」が活写され、著者の主体的な生き様とともに「星辰の友情」の在りかがくっきりと浮かび上がる。
目次
一九四五年一一月―ストラスブール大学の哲学研究所
一九四五年一一月―『レ・タン・モデルヌ』誌第二号
一九四六年五月―『クリティク』誌創刊号
一九四七年一月一三日―ヴュー=コロンビエ座におけるアントナン・アルトーの講演
一九四八年三月―「革命民主連合」の創設
一九四九年―ジョルジュ・バタイユ『呪われた部分』、モーリス・ブランショ『ロートレアモンとサド』
一九四九年六月―クロード・レヴィ=ストロース『親族の基本構造』
一九五〇年春―「地中海クラブ」の創設
一九五〇年五月一一日―イヨネスコ『禿の女歌手』の初演
一九五一年一月―ジッドの死〔ほか〕
著者等紹介
アロン,ジャン=ポール[アロン,ジャンポール][Aron,Jean‐Paul]
歴史家・作家。1925年、フランスのストラスブールに生まれる。ストラスブール大学卒業後、国立科学研究センター(CNRS)、リール大学等を経て、1977年より社会科学高等研究院主任。1988年、没。歴史研究の専門は特に19世紀以降のフランスの文化史および中産階級史
桑田禮彰[クワタノリアキ]
1949年東京に生まれる。1985年一橋大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。現在、駒澤大学総合教育研究部教授
阿部一智[アベカズトシ]
1952年小樽に生まれる。1981年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、女子美術大学講師
時崎裕工[トキザキヒロノリ]
1963年千葉に生まれる。1996年東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。現在、暁星中学・高等学校仏語教諭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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