出版社内容情報
心の傷の実態、治療の課題、構造的問題をめぐる最新の議論!
子どもを被害者とする性犯罪報道が相次ぐ昨今、保護者たちは危機意識を強め、子どもを守るための様々な取り組みをすすめている。性的虐待を生じさせる構造的な要因も数々指摘され、その変革が叫ばれてはいるものの、問題構造はあまりに複雑であり、実効的な対策を導き出すのは容易いことではない。被害者となった子どもたちには、少年であれ少女であれ適切なケアと対策が必要なのだ。スウェーデンで1990年に設立された「ボーイズ・クリニック」は、性的虐待を受けた少年の治療機関である。男性の性被害者を専門とする治療機関は世界にいくつか存在するが、スウェーデンのボーイズ・クリニックはそのなかでも比較的初期に設立されたものだ。本書は、ボーイズ・クリニックの約10年間にわたる治療の記録である。
*ボーイズ・クリニックを運営する「レッダ・バーネンRadda Barnen」は国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」のスウェーデン支部。子どもへの暴力、性的虐待、児童ポルノ、児童労働などの根絶に向けて国内外で様々なプロジェクトを展開している。
内容説明
誰が彼らを虐待するのか、そして、その支援方法は?本書には、少年たちの被害経験と治療過程がリアルに描かれている。
目次
パトリックに起こったこと
子どもへの性的虐待―数字から見る現実
虐待される少年
父親による虐待
怖い、でも会いたい
ペドフィリア
女性による虐待
きょうだいとの性行為
「私は大きな目隠しをしていたのです」―ある母親の物語
治療の焦点現実を非現実する
トラウマと強迫的反復行動
トラウマの克服
スティグマ
自己否定感
僕はゲイになったのか?
教師に虐待された少年たちのグループ治療
セックス・リング
治療の阻害要因
治療者の感情
性的虐待を受けた子どもたちの治療―課題と可能性
結論
著者等紹介
ニューマン,アンデシュ[ニューマン,アンデシュ][Nyman,Anders]
1946年生まれ。レッダ・バーネン(セーブ・ザ・チルドレン・スウェーデン)に所属する児童心理学者、心理療法士。児童性的虐待や社会福祉サービスに関する著書がある
スヴェンソン,ベリエ[スヴェンソン,ベリエ][Svensson,B¨orje]
1942年生まれ。ソーシャルワーカー、心理療法士。レッダ・バーネンの付属機関「子どもと若者のためのクライシス・センター」で性的虐待を受けた子どもたちの支援に従事。レッダ・バーネンが発行するブックレット・シリーズに執筆している
太田美幸[オオタミユキ]
1974年生まれ。一般大学社会学部卒業後、民間企業に4年間勤務したのち、一橋大学大学院社会学研究科で教育社会学を学ぶ。専門は学習社会論、成人教育論。博士(社会学)。日本学術振興会特別研究員、スウェーデン・リンシェーピン大学行動科学研究所客員研究員を経て、現在は鳥取大学生涯教育総合センターに勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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