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出版社内容情報
世界の終末を危惧させる不安要素を諷刺を込めて描き、未来への可能性を訴える
「地球は生きています。そのことをわたしたちは忘れがちです。地殻がわずかに隙間をあけて一息つくだけで、大きな波は寄せては返し寄せては返します。そんな自然の前にあって人間は脆くも弱く、計り知れない苦しみを味わいます」そう語るフィンランドの現代作家レーナ・クルーンは、眼前に迫る不安と未来への可能性を、邦訳四作目となる本書『ペレート・ムンドゥス』に結集させた。世界の終末を危惧しかねない不安要素は、はたしていくつあるのだろう?そして、その不安はいくつまで増え続けるのだろう?破滅する世界にひそむ憂うべき不安が三六章にわたって書きつづられる。テロの危険性、人間を追い越しかねない超人的知能AIの目覚しい発達、崩壊するモラル、シンギュラリティーへの不安、多種をかけあわせた混合種キメラを実験台にする人間、絶滅危機にある森のカエル、幻覚作用をもつヒヨスの栽培をする市民、低温保存で人体を凍結・保管する団体の存在、襲ってくる津波。あげればきりがない不安要素を、ホーカンという同名の主人公たちが淡々と体験してゆく。そして、そんな不安や恐怖を抱えた患者たちを診るフェイクラブ博士も、もう一人の主人公だ。診療所の経営にくわえて、口臭や口の渇きを和らげるフェイクドロップという名のうがい薬を売っていることからフェイクラブ博士と呼ばれるようになったが、インターネットで診療を済ませることも名前の一因だ。患者層は幅広く、あらゆる恐怖症から過食・拒食症、そして妄想癖やニコチン中毒者まで博士にアドバイスを求めにメールを送ってくる。その相談者の一人が世界の終末論を説くホーカンだった。『ペレート・ムンドゥス』は、地球の未来予想図となりうる数多くの選択肢を含んだ社会風刺であり非理想郷である。それと同時に、現代に警鐘を鳴らしながら未来の可能性を訴える作品だ。
著者紹介 Leena Krohn(レーナ。クルーン) 1947年生まれ。現代フィンランド文学を代表する作家。アメリカやヨーロッパ諸国で数多く翻訳され、国内外で高い評価を得ている。幻想と現実を叙情的表現でつなぎながらも明快で的確な文体を特徴し、本国で特異な位置を占めている。
内容説明
現代に警鐘を、未来に可能性を。現代フィンランド文学を代表する作家レーナ・クルーンから届けられた最高の社会諷刺。
著者等紹介
クルーン,レーナ[クルーン,レーナ][Krohn,Leena]
1947~。ヘルシンキ生まれ。現代フィンランド文学を代表する作家の一人。幼少時代より多くの文人や芸術家と触れ合い、大学では哲学や心理学、文学や美術史を学ぶ。教授職に任命され、大学や図書館などで講演を積極的に行いながら執筆活動を行う。数々の文学賞を受賞し、ヨーロッパ諸国を中心に海外に翻訳された作品も多い
末延弘子[スエノブヒロコ]
文学博士。東海大学北欧文学科、トゥルク大学を経て、フィンランド政府奨学金留学生としてタンペレ大学に留学。フィンランド文学を専攻。フィンランド文学情報センター(FILI)に翻訳研修給付生として勤務し、帰国後にフィンランド文学情報サイトを末延淳氏と主宰。フィンランド文学協会(SKS)、カレヴァラ協会正会員。現在、翻訳、通訳、執筆を手がける他、都内各所でフィンランド語講師をしている
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感想・レビュー
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