出版社内容情報
ドラマティック・ソプラノ」と呼ばれた北欧最高のオペラ歌手の生涯
ヴァグナーのオペラは、現在、ヨーロッパ・アメリカのみならず日本でも盛んに上演されているが、歌手に着目すると、ヒロインを歌う超ドラマティック・ソプラノでは、かつてのビルギット・ニルソンやその先輩にあたるキルステン・フラグスタートを凌ぐ人がまだ現れていないということに異論を唱える人はいないだろう。ニルソンはスウェーデン人、フラグスタートはノルウェー人で、彼女らは「スカンジナビア系超ドラマティック・ソプラノ」と呼ばれている。このスカンジナビア系超ドラマティック・ソプラノからは多くのすぐれたヴァグナー歌手が輩出しており、そのルーツがエレン・グルブランソン(1863~1947)である。彼女はヴァグナー・オペラ上演の本家ともいえるバイロイト音楽祭において、超大作『ニーベルングの指環』のヒロイン「ブリュンヒルデ」役を1896年から1914年まで毎回歌い続け、ヴァグナー歌手として国際的な名声を博した。また彼女は、ノルウェーを代表する作曲家グリーグの信頼があつく、彼と演奏活動を共にすることも多かった。本書では、彼女が出演したオペラやコンサートに関する批評が数多く引用されているので、読者はこのスカンジナビア系超ドラマティック・ソプラノの祖といわれる歌手の声の特徴や歌い方、さらにはその演技を活字を通して想像することができるだろう。
原著者紹介 Fanny Elsta(ファニー・エルスタ、1899~1978)は、ノルウェーのアルト歌手で、エレン・グルブランソンに師事し、ザルツブルグ音楽祭やバイロイト音楽祭にも出演したキャリアをもつ第一級の歌手であった。
目次
子ども・青年期
パリへ、そしてストックホルムでデビュー(一八八三~一八八七)
コペンハーゲンでのグリーグとスヴェンセンとの出会い
ノルウェーでのコンサート、そしてストックホルムでのオペラデビュー
グリーグへの協力、コペンハーゲンでの成功
結婚(一八九〇年)。コペンハーゲンでの『ヴァルキューレ』上演
バイロイトへの準備―クレオパトラのごとく
バイロイトへ、ウィーンでのコンサート(一八九六年)
バイロイトでブリュンヒルデを演じたエレン・グルブランソン―その大成功の結果
バイロイト、ロンドン、ベルゲンでの音楽祭そして、モスクワ、ベルリンへ
バイロイト、ロンドン、ベルゲンでの音楽祭 そして、モスクワ、ベルリンへ
ヘルシンキでの『ヴァルキューレ』 コヴェントガーデンでの『指環』 歌手生活二十五周年―最後のバイロイト
1914年秋以降の演奏活動 引退、晩年
著者等紹介
エルスタ,ファニー[エルスタ,ファニー][Elsta,Fanny]
1899~1978。ノルウェーのアルト歌手で、エレン・グルブランソンに師事し、ザルツブルグ音楽祭やバイロイト音楽祭にも出演したキャリアをもつ第一級の歌手であった
田村哲雄[タムラテツオ]
1948年、埼玉県生まれ。会社員。埼玉県在住
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