出版社内容情報
【叛乱の想像力】南仏の小都市の祝祭空間の中でくりひろげられた叛乱・反税闘争の連鎖を解析し,16世紀の〈全体的社会事実〉の縮図を描き切るアナール民族歴史学の成果。
ロマンの謝肉祭(カルナヴァル)は、社会の諸相が一気に対立の構図に投入されたかぎりにおいて、まさに《全体史》としての性格を帯びていた。16世紀という時代状況でおよそ考えられるほとんどの社会的軋轢が、ポーミエとゲランという対照的な二人を主役あるいは化身とし、カルナヴァルというすぐれて伝統的な民族慣行を舞台とし、さらに象徴的な祝祭言語を格好の装置として、複合的かつ連鎖的に、そして周辺地域をも巻き込む形で同心円状に奔出する。そのかぎりにおいて、ロマンのカルナヴァルは、過不足なく時代の縮図としてあり、住民と社会とが織りなす、時に過酷な集団的イマジネールの仕掛けとしてありえた。本書は中世のたたずまいを今に残す南仏の小都市ロマン=シュル=イゼールで1579年から1580年に起きた凄惨な連鎖的事件についての記録である。祝祭空間の中でくりひろげられた叛乱=反税闘争の連鎖を解析し、16世紀のあらゆる社会・構造的軋轢=《全体的社会事実》の縮図を描き切る、アナール民族歴史学の白眉である。
内容説明
中世のたたずまいを今に残す南仏の小都市ロマン=シュル=イゼール。この町で1579‐1580年に起きた凄惨な連鎖的事件とは?祝祭空間の中でくりひろげられた叛乱=反税闘争の連鎖を解析し、16世紀のあらゆる社会・構造的軋轢=全体的社会事実の縮図を描き切る、アナール民族歴史学の白眉。
目次
都市と農村の舞台装置
税:平民対貴族
一五七六年:ジャン・ド・ブールの陳情書
一五七八年:ジャック・コラの賢明なる叛乱
一五七九年:セルヴ・ポーミエの最初のカルナヴァル
ストと負債
一五八〇年:アントワーヌ・ゲラン、ロマンの裁判官にしてフォークロアの主
一五八〇年:肉食の火曜日もしくは神はわれらに
農民屠殺
カササギとカラスがわれらの目を穿った
モデル、同宗団、三国
冬祭り
農民たちへの回帰
平等の未開人たち
著者等紹介
ラデュリ,エマニュエル・ル・ロワ[ラデュリ,エマニュエルルロワ][Ladurie,Emmanuel Le Roy]
1929年、フランス北部バス=ノルマンディーの県都カンのカトリック系の家に生まれる。リセの名門アンリ四世校をおえたのち、第二次世界大戦後の1949年、国立師範学校に進み歴史学を学ぶ。同年フランス共産党に入党するが、56年ハンガリー動乱を機に脱退。53年、上級教授資格試験に合格し、南仏モンペリエのリセで歴史学を講義。以後、国立中央科学研究所(C.N.R.S.)派遣研究員、モンペリエ大学講師、パリの国立高等研究院第六セクション(のちの高等社会科学研究院)研究指導教授を経て、69年からは同研究院の歴史学部門を率いるフェルナン・ブローデルのもとで、新しい歴史学を標榜する『経済・社会・文明年報』(いわゆる『アナール誌』)の編集陣に加わり、73年にはブローデルの後を受けてコレージュ・ド・フランスの歴史学教授に迎えられる。87年には国立図書館の館長に就任し、システムの改革に携わる
蔵持不三也[クラモチフミヤ]
1946年栃木県生まれ。早稲田大学文学部卒。パリ第4大学(ソルボンヌ校)修士課程修了。パリ社会科学研究院前期博士課程修了。現在早稲田大学人間科学部教授。1999‐2000年、モンペリエ第3大学客員教授。博士(人間科学)。フランス民族学専攻
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