出版社内容情報
【明暗の響き】フォーレ研究の世界的な第一人者によって作品と人物像を紹介する決定版。初公開写真,家系図,年譜形式の作品表,譜例,項目別邦訳版オリジナル索引等,資料充実。
この度フォーレ研究の世界的な第一人者J=M.ネクトゥーによって作品と人物像を紹介する『評伝フォーレ』が刊行された。「あまりにもフランス的…フランス以外の国では理解されないだろう」と、多くの誤解を受けてきたフォーレの音楽の全体像を理解するための今世紀最大の決定版である。 ガブリエル・フォーレは1845年に南仏アリエージュ県のパミエに生まれ、1924年に没した作曲家で、今年が生誕154年の年にあたる。9歳の時に見出されてパリのニデルメイエール古典宗教音楽学校に入学し、そこで生涯の師となり友人となったサン=サーンスとの出会いがある。彼の引き立てもあって、やがて生涯の大半において無名であったフォーレはパリ国立音楽院の院長、学士院会員にまでその道を歩むことになる。 音楽史の上では、サン=サーンスから受け継いだ古典主義の流れラヴェルに伝えながら、象徴派のフランス歌曲(メロディー)を確立した人物である。 一方、彼は当時のサロン文化の中心的人物の一人でもあり、音楽家以外の多くの文化人達とも交流を保っていた。憎まれない人柄もあってか、各分野に様々な影響を及ぼしているが、例えば、象徴派の詩人のヴェルレーヌを世に出したのもフォーレであり、またプルーストの『失われた時を求めて』の中の一節もフォーレの『バラード』から生み出されたものに他ならないのだ。 フォーレの場合、このサロンでの交際の模様が書簡集という形で残されており、当時の芸術家達の交流を読み取ることができるが、このたび刊行された『評伝フォーレ』の中でもそれらは数多く引用されている。さらに59点にのぼる初公開を含む写真、家系譜、そして充実した年譜等、当時のフランスの音楽史、文化史、さらには精神史の流れを追ううえでの総合的な大著として、本書は資料的、歴史的な意味をも兼ね備えているといえよう。まさにフォーレ愛好家待望の一冊(バイブル)である。
内容説明
近代フランス音楽の巨星ガブリエル・フォーレの全生涯を、その作品の生成過程や音楽・文化・精神史の流れを丹念にたどりながら鮮やかに蘇らせたフォーレ愛好家待望の記念碑的バイブル。
目次
栄光への階段(グラドゥス・アド・パルナッスム)
地方での生活の情景
若き日々の内面
白と黒で
薔薇の香りに包まれて―ロマンスからメロディーへ
ソット・ヴォーチェ(ひそやかに)―室内楽作品(一)
もう一つの流れ―合唱曲
舞台作品(一)―付随音楽から歌劇へ
ポール・ヴェルレーヌとの歳月
舞台作品(二)―『プロメテ』悲歌劇作品八十二〔ほか〕