内容説明
変動相場制移行後の世界経済は混迷を極めている。為替レートの激しい変動を背景に、金融の自由化とグローバル化が進行し、世界的な金融統合がなされつつあるが、そこでは、諸国経済の相互調整のためのコストが増大し、諸国間の不均衡が累積し波及するという事態が同時に起こっている。本書は、こうした通貨危機の状況を検証し、また、ポンド本位制、ドル本位制という2つの基軸通貨体制を歴史的に総括した上で、現在の状況を、基軸通貨の覇権体制から超国家的通貨制度への過渡期として位置づけ、国際通貨に関する諸国の「制度化された協力」を提言する。
目次
第1部 基軸通貨の終焉―国際通貨試論(国際通貨原理を求めて;国際通貨は何の役に立つのか;基軸通貨の栄光;基軸通貨の衰退;制度化された協力のために)
第2部 国際通貨・金融統合―ヨーロッパへの挑戦(金融のグローバリゼーションとその不確定性;国際通貨の相互依存と欧州通貨制度にとってのそのインプリケーション;マルク圏と通貨協力との中間にある欧次通貨制度;通貨統合、あるいは単一通貨の優位性;ECUによる通貨統一の戦略)
訳者解説 レギュラシオン学派の貨幣認識と国際通貨・金融問題(資本主義のレギュラシオン様式としての貨幣・信用;貨幣と社会秩序の発生;国際通貨論のプロブレマティーク;欧州通貨統合の歴史的意義)